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ほんの小さな私事(29)

[441]  稲村コウ  2009-06-27投稿
ここの家の風呂は、昔ながらの檜づくりのもので、心地よい香りが漂っている。
マンション住まいの頃は、よくあるユニットバスで、主にシャワーで汗を流すかんじだったので、こういった肩まで湯に浸かるお風呂は、いつか家族で温泉旅行に行った以来である。
今までは、母親が、アロマ油をユニットバスに入れて香りを楽しむという事もしていたが、そういったものより、私としては、檜の自然な香りが好きである。
身体に湯をかけ、軽くタオルで拭ったあと、私は湯船にゆっくりと体を沈めた。
心地よい香りと、適度な温度の湯の中で、心身共にリラックスさせながら、私は、今日一日にあった事を反芻していた。
新しく出来た友達。クラスメイトも好い人ばかりだし、先生も多少厳しい感じはあるけれど、素敵な人だと思う。
部活に関しては、割とスポーツが盛んのようで、それぞれの活動に活気かまあった。
その一方、私が希望した弓道部は、廃部寸前だったが、辛うじて存続する事になった。
部員が私一人だけという不安はあるが、何とかやっていこうという気持ちは強くあるし、臨時の顧問を請け負ってくれた山崎さんも、好い人そうだし。
そして図書館。
素敵で綺麗な施設で、結構な量の図書が収められているので、色々と調べ物をするのにも良さそうだ。ただ、私が欲する情報がそこにあるかどうかは判らないが…。
あと、管理人の林さんも、とてもいい方で、図書委員である高野さんと山下さんとも、今後、よき付き合いができそうだ。

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