(仮)消えた男…陰の薄い恋…26-2
臨(リン)「…前(ゼン)!」
陣(ジン)「前(ゼン)?!」
在(ザイ)「…?…?!」
前(ゼン)の全身は何万匹もの黒い虫に覆われていた。
前(ゼン)は激しく藻掻いていたが、直ぐにピタリと動かなくなった…
轟刑部「な、な、なんだ?!この得体の知れない虫は?!…いつ、どこから湧いて来たんだ?」
轟刑部は前(ゼン)の一番近くにいたにも関わらず何が起きたのか全く分からなかった。
一体、エリートサラリーマン風の男は何をしたのか?
エリートサラリーマン風の男と前(ゼン)の距離は、かなり離れている。
むしろ臨(リン)達の方がエリートサラリーマン風の男に近い。
臨(リン)「前(ゼン)!今、助けてやるから!」
陣(ジン)「臨(リン)!動くな!」
陣(ジン)は臨(リン)を制した。
臨(リン)達の足元に一般には見えないが、何やら動めく物が無数にいた。
見えないのではなく保護色になっているのだ。
足元の正体は前(ゼン)を覆った黒い虫だった。
エリートサラリーマン風の男「フッフッフ。どうだ俺が作った虫は!可愛いだろう。コイツらは敵に襲われないように、どんな所でも保護色になるのさ。でも獲物に食らい付いたら黒くなっちまうのさ。コイツらの毒は強力だぜ!一匹でスズメバチの一千倍の毒を持ってるからな。少しでも噛まれたらアナフィラキシーショックを起こして死ぬのさ。最高だろう!」
エリートサラリーマン風の男の言葉に誰もが沈黙していた。
そんな中、伊井 香 が苦痛に顔を歪ませながら女神に問い掛けた。
香「なぜ?なぜ、あんな事をするの?アナタは本当に素晴らしい能力を持っているじゃない!なにが目的なの?」
女神「復讐よ!」
香「復讐…?、何に?誰に?」
女神「良いわ。話してあげるわ。私の過去を…」
つづく
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