ロストクロニクル8―2
「あっ!見えてきた!」
パールが前方を指さしてそう言ったのは、クレイラを出発してから、約半日が過ぎたくらいだった。
腰の高さ程もある草をいくつも掻き分けると、それは視界いっぱいに開けた。
「海だ!」
タクトにとっては初めて見る海だった。今まで見てきた景色の中でいちばん綺麗だと思った。
海の前には、きれいに敷き詰められた砂があり、その先には永遠に続いているかのような蒼が視界いっぱいに広がっていた。
「そろそろ日が落ちます。どこかで野宿しましょう」
フラットは砂浜の上を南に歩きながら、野宿できる場所を探した。
「綺麗ねぇ」
パールは砂浜に座り、タクトの隣で同じように、海に見とれていた。
タクトもそれに習って、砂浜に腰を下ろした。
手についた砂でさえも気持ち良かった。
「そろそろ日が落ちるわ」
パールはタクトの方を見ずに前方を見つめながら、タクトに話しかけていた。
「ああ」
海の蒼が徐々に夕暮れに紅く染められていっている。
「海見たの初めてなんだ。話しには聞いたことはあったけど、こんなに綺麗だとは思ってなかった」
海だけでなく、砂浜も薄い紅に染まっていく。
「わたしは一度だけ、小さい頃にほんの少しだけ見たの。お父さんの馬車に揺られながら、だけど、こんなにちゃんと見たことなかった」
夕日が半分くらいまで沈んでいた。
その時
(助けてー!誰かー)
タクトたちには分からない言語の叫び声が聞こえてきた。ただ、声色からだいたい助けを求めていることが分かった。
「パール!北の方からだ」
「良かった。フラットとは反対の方ね」
タクトとパールは海を左手に見ながら、声のした方へ走っていった。
うまく走れない!
タクトは砂浜の上で走ったことはもちろん一度もなかった。いつものスピードが出せなかった。
「パール、後ろから援護してくれないか」
「分かったわ」
そして、タクトは砂浜の上を全力で走った。
すぐに、海賊船のような船に無理矢理連れ込まれる人が見えた。
「待て!」
タクトは自分も意識もしない内に叫んでいた。
「なんだ?てめぇ?」
威嚇の目を向けながら、無理矢理船の中に人を入れたばかりの斧を持った、海賊がこちらに五人向かってきた。
「今のはなんだ!」
タクトは恐れることなく、剣を海賊たちに向けた。
パールが前方を指さしてそう言ったのは、クレイラを出発してから、約半日が過ぎたくらいだった。
腰の高さ程もある草をいくつも掻き分けると、それは視界いっぱいに開けた。
「海だ!」
タクトにとっては初めて見る海だった。今まで見てきた景色の中でいちばん綺麗だと思った。
海の前には、きれいに敷き詰められた砂があり、その先には永遠に続いているかのような蒼が視界いっぱいに広がっていた。
「そろそろ日が落ちます。どこかで野宿しましょう」
フラットは砂浜の上を南に歩きながら、野宿できる場所を探した。
「綺麗ねぇ」
パールは砂浜に座り、タクトの隣で同じように、海に見とれていた。
タクトもそれに習って、砂浜に腰を下ろした。
手についた砂でさえも気持ち良かった。
「そろそろ日が落ちるわ」
パールはタクトの方を見ずに前方を見つめながら、タクトに話しかけていた。
「ああ」
海の蒼が徐々に夕暮れに紅く染められていっている。
「海見たの初めてなんだ。話しには聞いたことはあったけど、こんなに綺麗だとは思ってなかった」
海だけでなく、砂浜も薄い紅に染まっていく。
「わたしは一度だけ、小さい頃にほんの少しだけ見たの。お父さんの馬車に揺られながら、だけど、こんなにちゃんと見たことなかった」
夕日が半分くらいまで沈んでいた。
その時
(助けてー!誰かー)
タクトたちには分からない言語の叫び声が聞こえてきた。ただ、声色からだいたい助けを求めていることが分かった。
「パール!北の方からだ」
「良かった。フラットとは反対の方ね」
タクトとパールは海を左手に見ながら、声のした方へ走っていった。
うまく走れない!
タクトは砂浜の上で走ったことはもちろん一度もなかった。いつものスピードが出せなかった。
「パール、後ろから援護してくれないか」
「分かったわ」
そして、タクトは砂浜の上を全力で走った。
すぐに、海賊船のような船に無理矢理連れ込まれる人が見えた。
「待て!」
タクトは自分も意識もしない内に叫んでいた。
「なんだ?てめぇ?」
威嚇の目を向けながら、無理矢理船の中に人を入れたばかりの斧を持った、海賊がこちらに五人向かってきた。
「今のはなんだ!」
タクトは恐れることなく、剣を海賊たちに向けた。
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