携帯小説!(PC版)

迷想

[164]  コトミ  2009-06-29投稿
「池内美紀の夫と娘ですけども…。」

五十嵐病院に着くやいなや、駆け足で受付に向い、早口で父は話す。

「これを付けて、六階の二号室に向ってください。」

私と父の分のバッチをカウンター越しに渡し、パソコンを眺めながら、受付の女の人が言う。

「……。」

今私はエレベーターの中で父と二人っきり。
何も話す事が無く、気まずい空気がエレベーター内に流れる。

早く…早く…。

階数が書かれている場所を見ながら、私はそう願う。

チーン…。

六階に着いたエレベーターの合図と共に、閉ざされていたドアが開く。

「……。」

また、無言のまま、父は歩き出す。

迷う事も無く、父は602号室とプレートに書かれた部屋の前に立ち、一回深く深呼吸をする。
それから、ゆっくりと部屋のドアを開ける。

「具合はどうだ?」

さっきまで無言だった父が優しい口調で喋り出す。

「うん。さっきよりは楽になった。」

「そっか。」

安心したような父の声と、私の母の疲れ切った声が聞こえる。

私は物音もたてず、部屋の中へと入って行く。

その時私は、どう反応すれば良いのか半分分からなかった。

小さな部屋の中心に置かれたベット。

そのベットには、患者がよく着る服を着て、横たわって居る母の姿があった。

そしてその母の周りには、見慣れない機械が三機ほどあった。

「…大丈夫…?」

余りに気になった私は、母に問い掛ける。

「舞衣。来てたの。お帰り。」

疲れた様な声を出しながらも、母は笑顔で言う。
「うん。ただいま。それより、体の方は大丈夫なの?」

その後の私に対しての母からの返事は、想像を絶するものだった…。

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