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君の笑顔

[161]  あきほ  2009-07-01投稿
君の笑顔をボクは初めて見た。

本当に素敵な笑顔だった
ヒマワリのように明るくてヒグラシの鳴き声のようにどこか淋しげな笑顔だった。



ボクがその笑顔の事実を知ったのは去年の夏の事だった。

あまりにも急過ぎて
何が起きたのか一瞬分からなかった。

今でも思い出すと嘘のような事だった。


また今日もアブラゼミがうるさい程の大音量でボクに降り注いだ。

ボクは夏が嫌いだ
色々な色が表情豊かにあふれかえっている夏よりも、植物も色を無くし、余分な色をギリギリまでケズり落とした殺風景な冬の方が好きだった。



だけど、君が一生忘れられない夏にしてくれた。

だけどボクはやっぱり夏が嫌いだ。


君を奪った夏が憎い。






ボクが君を初めて見たのは駅前のコンビニだった気がする。

家を出た瞬間、春とはいえ長袖Tシャツ一枚では少し肌寒かった。

ボクがコンビニを出た時、ボクの前を君が通った。

君は急いでボクの前を
通りすぎようとしたとき、君が何かを落としていったボクは君が落とした物を拾った。

君が落としたのはピンクのハンカチだった。
拾ったときにふわっと甘い香りが鼻をくすぐった。

ボクがハンカチを渡そうとしたら、君はボクの前から居なかった。



始業式の日、校長先生の話が終わり、教室に戻った。
久し振りに会うせいか、
教室はザワついていた。
先生が入ってきた。
先生の後ろにほっそりとした影が見えた。
どうやら転校生のようだ。

先生の後ろに隠れていた顔がみんな方を向いた。

それは春休み、コンビニで会った娘だった。

その日の午後の記憶が今のボクにはない。

そして、7月の後半になってから、君は学校に来なくなった。

ボクはお見舞いへ花を買っていった。

君の大好きなヒマワリだった。

ボクは君のお母さんと話をした。

君の病名は、白血病。
ガンだという。
もって半年、早ければ1ヶ月だという。
それを聞いたとき、
ボクは神を恨んだ。

なぜアノ娘なんだ!?
ボクがアノ娘の代わりにはなれないのか!・・・と。



これほど運命を残酷だと思った事はない。



そして1ヶ月後、


君は息を引き取った。
それはヒグラシのなく時期だった。



君はずっとボクの記憶の
中で生き続けてくれ。

感想

  • 13316: 短い中に詰まってる思い感じました…合唱 シャイン [2011-01-16]

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