いつかまた〜74〜
「ちさ、今日こそクローバー取りに行こう?」
ずっと後回しにしていたラストシーン。完成間近となってた僕らの制作。そろそろ撮影に入らなきゃならない。
ちさは、
「う…、うん…」
なんとも言えない微妙な返事。
ちさが、僕と響の間に挟まれて、どうしていいか分からないでいるのは分かってた。
僕と響は、しばらくちさの気持ちを無視して、突っ走ってきた。
放課後。
ちさと、クローバーとしろつめ草を、根っこから掘り出した。
「これでラストシーン出来上がるな」
そう言って歩く僕の後ろ、
「…トーマ」
ちさが話かける。
「ん?」
「……私が好きなのは…トーマだよ…?」
分かってる。
いい加減な気持ちで、ちさが僕に想いをぶつけてきた訳じゃない。ちさは、そんな事ができるような人間じゃない。
分かってるけど…
「…うん」
それだけしか言えなかった。
不安げな表情のちさ。
口ベタで、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手なちさ。その表情が
『どう言えば、分かってもらえるんだろう』
という意味だという事に、この時の僕には知るよしもなかった。
ずっと後回しにしていたラストシーン。完成間近となってた僕らの制作。そろそろ撮影に入らなきゃならない。
ちさは、
「う…、うん…」
なんとも言えない微妙な返事。
ちさが、僕と響の間に挟まれて、どうしていいか分からないでいるのは分かってた。
僕と響は、しばらくちさの気持ちを無視して、突っ走ってきた。
放課後。
ちさと、クローバーとしろつめ草を、根っこから掘り出した。
「これでラストシーン出来上がるな」
そう言って歩く僕の後ろ、
「…トーマ」
ちさが話かける。
「ん?」
「……私が好きなのは…トーマだよ…?」
分かってる。
いい加減な気持ちで、ちさが僕に想いをぶつけてきた訳じゃない。ちさは、そんな事ができるような人間じゃない。
分かってるけど…
「…うん」
それだけしか言えなかった。
不安げな表情のちさ。
口ベタで、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手なちさ。その表情が
『どう言えば、分かってもらえるんだろう』
という意味だという事に、この時の僕には知るよしもなかった。
感想
感想はありません。