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キャッチボール 第13話

[174]  るー6  2009-07-03投稿
4月12日、午前1時。春とはいえ、夜中なので寒い。
「寒っ。」
パジャマ姿で僕は向かった。しょうがない。こっそり出てきたのだ。
「来ないかな…」
西中の武道館近くの大木が、怪しげにざわめいた。すると、
「雨か…。」
雨が降ってきた。
「雨の音しか聞こえない…。」
するとようやく、
「やべっ。雨降ってきたな。」
龍吾が来た。
雨がどんどん本降りになる。
「で…何だよ。呼び出したりして。」
龍吾は…実は話したいことがあったが、自分の気持ちを抑えた。
「…うん。この前はありがとう。」
「あーっ。オレこう見えてもケンカ強いんだぞ。まっ、一番ではないけどな。」
「ある程度ってこと。」「あーそうだな。」
雨は降り続く。
「龍吾ごめんね。僕のお母さんああいう人だから。」
「……。」
そのことにはさすがの龍吾も黙る。
「だから、家族…。龍吾みたいな家族が羨ましかった。」
「ああ…。」
「どうした?何かあったの?」
ヤバい。オレが言おうとしていることを悟られた。
こういう会話中なのに…どうしよう…
オレは、はっきり本当のことを言おう…。
「みーくん。」
「?」
僕は首を傾げる。
「オレ…オレはな…。」「…どうしたの?」
「オレは…。」
「何。何なの?」
「オレの家族は本当の家族じゃない。」
「えっ…」
驚きを隠せずにはいられなかった。まさか、龍吾…。
「オレは…本当の母親に…捨てられた。」
「うそ?」
「…そして、今の母ちゃんに、オレと姉ちゃんは養子として迎えられた。それが…5年生のとき。」
「5年生…。」
「オレはその前までは、東京にある施設にいた」「その施設って…捨てられた子ばっかり…。」
龍吾の…落ち込んでいる顔…初めて見た。

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