蛙の願い(3)
実際はそうでもなかった。つまり俺はそれほど馬鹿ではなかった。入学初めのテストで分かったことだが、俺はこのガリ勉より頭が良かった。今でもそうだ。そのことは大谷も分かってる。それが故にヤツは優越感を求めるのだ。俺の中に少しでも自分より劣っている部分を見つけると、ヤツは決まって不敵な笑みを浮かべる。細い目がよけいに縮まり、歯の矯正器具がきらめく笑みは不気味を通りこして異次元、空間の歪みのようにも思う。
授業は淡々と進み昼休み。なにやら横で独り言をつぶやく大谷を横目に一人で弁当を済ませると、図書室へ行く。何を読むでもないが、ここが一番落ち着く。他の生徒のように休み時間にまで勉強に使いたくはないのだ。
気になる本を手にとりつつ、ふと窓の外を見る。学校の外堀の内に一層高いレンガの内堀を認める。そいつは円形を描いて学校を一周している。変わったデザインだ。外から見ると井戸のようだ。事実、近所でももっぱらの笑いネタだ。「井戸に閉じ込められて大変ねえ」なんて親戚に言われたこともある。藤宮を゛刑務所゛だとでも思っているのか・・・
授業は淡々と進み昼休み。なにやら横で独り言をつぶやく大谷を横目に一人で弁当を済ませると、図書室へ行く。何を読むでもないが、ここが一番落ち着く。他の生徒のように休み時間にまで勉強に使いたくはないのだ。
気になる本を手にとりつつ、ふと窓の外を見る。学校の外堀の内に一層高いレンガの内堀を認める。そいつは円形を描いて学校を一周している。変わったデザインだ。外から見ると井戸のようだ。事実、近所でももっぱらの笑いネタだ。「井戸に閉じ込められて大変ねえ」なんて親戚に言われたこともある。藤宮を゛刑務所゛だとでも思っているのか・・・
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