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キャッチボール 第15話

[173]  るー6  2009-07-05投稿
「お母さんが…倒れた?」
信じられなかった。

「とにかく、早く来てよ!」
「おう!」
「救急車…早く来てぇ…。」
急に変わり果てた母ちゃんの姿。その光景が今…現実になっている。
母ちゃんは、オレ達に本当に良くしてくれた。そう思うと、自然と涙が出た。
「母ちゃん!今救急車くるからな!」
するとかすかに聞こえる声で、
「心配しないでええんよ。」
「お母さん!」
姉ちゃんはもう泣き崩れていた。
「この家族に…お父さんがいればね…。」
「えっ…母ちゃん?」
「お父さんがいれば、もっと…もっと楽しい…家族だったのに…。」
「いーんだよ!オレらは…これが1番の家族だと思ってる。誇れる家族だと思ってる!」
「ありがとう…」
背中を必死にさする龍吾だが、母ちゃんの顔色は悪くなる一方だった。
間もなく、母ちゃんは救急車で運ばれた。
「まさか…」
うつむく龍吾。
「龍吾。そんなこと言わない。お母さんは絶対助かる。」
「うん…だな。」
「明日、学校終わったら、きぬ総合病院まで…お見舞いに行こうね。」
「…あぁ」
部屋に戻った龍吾は、携帯を開いた。
みーくんに言うべきか。でも、すぐ閉じた。
「心配かけたくないもんな…。」
龍吾はメールを送らなかった。
オレなりに考えた。
みーくんの気持ち…
だけど…オレは全然分かってなかった。

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