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いつかまた〜79〜

[121]  友愛数  2009-07-06投稿
「俺…ちさの事、泣かしてばっかだな…」

頭を掻きながら、不本意な自分を責めるかのように、響は言った。

響が、辛く、悲しい気持ちを押し殺しているのが分かった。僕が響なら…。ちさに『さよなら』なんて。吐き出したくもない、その言葉を、響は身を切るような想いで口にした事、痛いほど分かった。そして


「ちさ、笑って?」


と言った。


ちさは、子供のように、溢れ出る涙を拭う事もしないで、ただ、声を殺して泣いていた。響の言葉に、小さく首を振った。


「……泣くな」


響の表情が、苦痛に歪む。


そして響は、ちさに歩み寄った。


涙が伝う、ちさの頬を、両手で包み、額と額をぶつけた。

「気持ちを計る事は出来ないけど、俺も、トーマと同じくらい、お前の事を大切に想ってる。………幸せになってくれ…!」


ちさの目からは、どんどん涙が溢れてくる。


「頼む。笑って…」

そして響は、唇に触れるか触れないかの、ちさの口角辺りの頬に。

キスをした。

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