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ハーフムーン (55)

[821]  2009-07-08投稿
わずかにマモルの財布から、はみ出ていた写真には、二つの人の頭が写っていた。

茶色っぽい髪と、黒い髪の、二つの頭。

しかし髪から下は、財布に隠れて見えない。

だが二つとも見覚えのある髪型だった。

ミユキは、人様の財布に触れてはいけまいと、努めて無関心を装ったが、その二つの人影がどうしても気になる。

とうとうミユキは、誘惑に打ち勝つことが出来ず、マモルの財布から写真をそっと引っ張り出してみた。

その写真を目の当たりにした時、ミユキは信じられないほど衝撃を受けた。

なんとそこには、肩を組んで笑っている、ショウとマモルの姿があった。

二人の笑顔は、まるで昔から気心が知れた者通しだけが見せる、親友の顔そのものだった。


ミユキは混乱していた。


この先、どうすればいいのか分からなかった。


マモルが帰って来たら、何て声をかければいい?


このまま知らない振りをしておくべきか?


マモルがショウとの繋がりを隠してたことを、責めるべきか?


それとも短刀直入にショウの所在を聞くべきか?


そもそも、マモルは何者なのか?


ミユキがこれまで一番信頼していた人間が、一瞬にして一番信じられない人間に変貌してしまう程の、衝撃的な事実だった。

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