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最期の恋(9)

[395]  MICORO  2009-07-08投稿
醜い傷痕を吸い取ろうとでもするように、唇を押し付けるコウの柔らかい髪を、私はそっと撫でる。
コウの唇が、傷痕のそばにぽつんと残った乳首を捉えた。
赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲む時のように、小さな音を立てて吸う。十年間忘れていた感触が、私の身体の芯を貫いた。
「ああっ、コウ…。わたし…」
私の目からは、とめどなく涙が溢れ出し、コウのパジャマの背を濡らす。
どれくらいそうしていただろう。
コウがゆっくりと立ち上がった。
茫然と立ちすくんでいる私の額に軽くキスをして、白衣の前を合わせてくれる。
「吉村さん、乱暴にしちゃうから、ボタンが飛んじゃったじゃない。新しい白衣に着替えないと…」
私はコウの胸に飛び込み、少女に戻った。
全身を震わせ、声を上げて泣いた。
コウはいつまでも、私の背中を撫でてくれていた。 


?お詫びと訂正。
「最期の恋」(3)の最初の部分に、「コウ」を「恋」としてしまう変換ミスが二カ所見つかりました。
初歩的なミス、お恥ずかしい限りです。謹んでお詫び申し上げます。m(__)m
MICORO

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