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キャッチボール 第16話

[162]  るー6  2009-07-08投稿
その頃僕は、
「何で…こんな時間に家を出ていったの?」
母親からの質問責めにあっていた。
「…ここが嫌だったからだよ。」
「どうせあの子のこと…龍吾くんと話してたんでしょ!」
「友達と話しているのが…何が悪いんだよ!」
「悪いとかそういう問題じゃないでしょ!」
「これ以上龍吾くんに会ったら、引っ越しも考えるから!」
あまりにも異常な言葉に、僕の周りが、暗闇に包まれた。

4月12日、朝。僕の携帯が鳴った。
「メール?」
『おはよう。今日も一日頑張ろうな。』
龍吾…からだった。
「……。」
僕はすぐメールを閉じた。
龍吾の優しさが逆に、僕を苦しめていった。
放課後、
「じゃあね。」
僕の学校の友達と別れ、一段落した。
メールをチェックすると、龍吾からまたメールが来てた。
『みーくん、何かあったのか。辛かったら言えよ。』
僕がメールを返さなかったからか、龍吾は落ち込んでいると思っているのだろう。
まあ事実かも知れないが。
僕はその場に座り込んでしまった。
龍吾の優しさは痛いほど伝わってくる。
でも、僕は、親から言われたことを完全に破ってまで龍吾と遊ぼうとは、思えなかったんだ。
「またメールだ。」
メールを開くと、やっぱり龍吾からだった。
『母ちゃんが倒れた。今病院にいる。』
それだけだった。
僕はすぐ、この町の総合病院に行こうとは思わなかった。いや、思えなかった。
やっと僕は、メールを返した。
すべての思いを乗せて。

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