冷たい雨に打たれて
傘も差さずにたちつくしていた君の横顔を思い出すたびに僕は空しさと悲しみと少しの嫉妬で狂いそうになる・…

イタリアの最南端に位置するシベリア
レモン畑に囲まれた小さな白い家でミケーロは生まれた。
スペイン人である母の血を色濃くついだ彼は軽くウェーブのかかった黒髪に黒真珠のような深い深淵を感じさせる瞳をしていた。
そのくせ肌は日差しの強いシベリアでは珍しいほどに透き通るような白さだった。
端正な顔立ちの彼は幼少のころから女たちに言い寄られてきたが、その表情の乏しさからか本気になる女もいなかった。そしてまた彼も決して女に溺れることはなかった。
彼にはチェーザレという親友がいた。名望家でありシベリアンマフィアの一角を牛耳る父親を持つチェーザレとミケーロは家柄からか親友ながらもある種の主従関係を築いていた。
そしてミケーロはチェーザレの勧めで１７の才に彼も下マフィアになった。

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