ハーフムーン (56)
いずれにせよ、ミユキはただ待つしかなかった。
しかし、マモルはなかなか帰って来ない。
もう外はすっかり暗くなっていた。
ミユキは少し心配になり、砂浜へマモルを捜しに出た。
「マモルーッ」
ミユキは、彼女なりの精一杯な声で叫んだが、返事はない。
海岸はどこにも、まったく明かりが無く、真っ暗闇だった。
――空にはハーフムーン。
その月明かりだけが頼りだった。
ミユキは空の月を微かな道しるべに、生い繁る林を抜け、海の家のある場所に行ってみた。
しかし、そこに有るべきはずの建物は一切無く、見事に撤収されてしまっていた。
ラーメン屋も、焼きそば屋も、カフェも、何も無い。
ミユキはその瞬間、膝から崩れ落ち、波の音を遠くに感じながら、いつしか意識を失った。
「――と、アタシの話はここまで。信じてくれた?」
ミユキは友人のサチ子に話し終えると、すっかり氷の溶けてしまった烏龍茶を一口飲んだ。
二人のいる居酒屋は、とても賑やかだった。
「で…それから、どうなったの?」
友人のサチ子は聞いた。
「目が覚めたら、自分ん家のベッドに戻ってた」
ミユキがそう答えると、サチ子はへぇ、と言って枝豆を頬張った。
そしてミユキにこう尋ねた。
しかし、マモルはなかなか帰って来ない。
もう外はすっかり暗くなっていた。
ミユキは少し心配になり、砂浜へマモルを捜しに出た。
「マモルーッ」
ミユキは、彼女なりの精一杯な声で叫んだが、返事はない。
海岸はどこにも、まったく明かりが無く、真っ暗闇だった。
――空にはハーフムーン。
その月明かりだけが頼りだった。
ミユキは空の月を微かな道しるべに、生い繁る林を抜け、海の家のある場所に行ってみた。
しかし、そこに有るべきはずの建物は一切無く、見事に撤収されてしまっていた。
ラーメン屋も、焼きそば屋も、カフェも、何も無い。
ミユキはその瞬間、膝から崩れ落ち、波の音を遠くに感じながら、いつしか意識を失った。
「――と、アタシの話はここまで。信じてくれた?」
ミユキは友人のサチ子に話し終えると、すっかり氷の溶けてしまった烏龍茶を一口飲んだ。
二人のいる居酒屋は、とても賑やかだった。
「で…それから、どうなったの?」
友人のサチ子は聞いた。
「目が覚めたら、自分ん家のベッドに戻ってた」
ミユキがそう答えると、サチ子はへぇ、と言って枝豆を頬張った。
そしてミユキにこう尋ねた。
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