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ハーフムーン (56)

[949]  2009-07-11投稿
いずれにせよ、ミユキはただ待つしかなかった。

しかし、マモルはなかなか帰って来ない。

もう外はすっかり暗くなっていた。

ミユキは少し心配になり、砂浜へマモルを捜しに出た。

「マモルーッ」
ミユキは、彼女なりの精一杯な声で叫んだが、返事はない。

海岸はどこにも、まったく明かりが無く、真っ暗闇だった。

――空にはハーフムーン。

その月明かりだけが頼りだった。

ミユキは空の月を微かな道しるべに、生い繁る林を抜け、海の家のある場所に行ってみた。

しかし、そこに有るべきはずの建物は一切無く、見事に撤収されてしまっていた。

ラーメン屋も、焼きそば屋も、カフェも、何も無い。

ミユキはその瞬間、膝から崩れ落ち、波の音を遠くに感じながら、いつしか意識を失った。




「――と、アタシの話はここまで。信じてくれた?」
ミユキは友人のサチ子に話し終えると、すっかり氷の溶けてしまった烏龍茶を一口飲んだ。

二人のいる居酒屋は、とても賑やかだった。

「で…それから、どうなったの?」
友人のサチ子は聞いた。

「目が覚めたら、自分ん家のベッドに戻ってた」
ミユキがそう答えると、サチ子はへぇ、と言って枝豆を頬張った。

そしてミユキにこう尋ねた。

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