携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 最期の恋(最終回)エピローグ―3

最期の恋(最終回)エピローグ―3

[725]  MICORO  2009-07-14投稿
だから私は、自分の全てを、その髪の毛一本に託して、あなたの中で生き続けます。
決してあなたの邪魔にならないように…。
あなたが、私の存在すら忘れてしまうようなかたちで、
あなたをずっと見守ります。
大切な奥さんと、可愛い子供たちの幸せを、見守ります。

ナースだっていうのに、非科学的?

……だよね。
でもね、科学で説明のつかないことなんて、いくらでもあるのよ。
だって今、
現実に死んでしまった私が、こうしてコウと話してるじゃない?
これは、幻想なんかじゃないのよ。
心の声で話してるの。

それにね、
私はもう吉村婦長じゃないもの。
患者さんのお世話をするナースじゃないもの。

あなただけを愛し、あなただけのために最期の半年間を生きた、吉村さゆりという、ただの女だから。

愛する人の幸せだけを願いながら逝った、ただの女だから…。

ナースとして数え切れないほどの患者さんのお役に立てたことより、

あなたひとりに愛されたことが、私の四十六年の人生でいちばんの誇り。

そして、
死の瞬間まであなたを愛し抜いたことが、私の人生の勣(いさおし)。


コウ…。
ありがとう。

私の最期のわがままを聞いてくれて…。

ねえ、コウ。

涼子の言ってたこと、
嘘っぱちだったね。
人間は死んだら、おしまいって…。
人間は、肉体が死んでも、
魂は、愛する人の心の奥で、
生き続けるんだね。

じゃあ、
さゆりはもういきます。

あなたが今、口にしてくれた
一本の髪の毛と共に
あなたの心の奥に入っていきます。

コウ。

さようならは言いません。

だって
お別れじゃないから…。

そのかわり…

愛してる

愛してる

愛してる…。


  ――――了――――



☆最後まで読んで下さってありがとうございました。
MICORO

感想

感想はありません。

「 MICORO 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス