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ほんの小さな私事(48)

[356]  稲村コウ  2009-07-16投稿
話を聞いていると、確かに不安は感じる。だからと言って私は、自分の決めた事を曲げるつもりもない。
「呪いが本当かどうかは判りませんが、私は何があろうとも、この部でやっていこうと思っています。ですから山崎さん。今後ともよろしくお願いいたします。」
私がそう言うと、山崎さんは、笑顔に戻り言った。
「いい目をしとる。お前さんならきっと、呪いに打ち勝つ事ができるじゃろうて。いや、まあ…呪いなんぞ、単なる噂に過ぎん。たまたま悪い事が立て続けに起こっただけだと、ワシぁ思っとる。何はともあれ、心配する事は無い。精一杯ここで己を磨き、精進に努めるとよいじゃろう。」
「はい。」
そんな風に話をしていると、遠くからチャイムの音が聞こえてきた。腕時計を見ると、八時二十分になっているのに気づいた。
「いけない!そろそろ戻らないと、朝のホームルームが始まってしまいますわ。」
私がそう言うと、山崎さんが、「鍵はワシが閉めておこう。鍵は職員室に戻しておくで、放課後はそちらに鍵を取りに行くといい。ささ、はよ行きなされ。」と言ったので、私は「よろしくお願いいたします」と言って弓道場を飛び出していった。

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