お約束家族?
すると怒鳴った私を父が慌ててなだめる。
「お、落ち着け! これも全てお約束のためだ!」
「ん!? お約束?」
「はい、お父さん。解説、解説」
すると母はどこからかホワイトボードを出してきた。
いそいそと黒のペンを持って周辺の地図を書き出す父。
くだらないことでこの夫婦は息が合っている。
「ここが私たちの家だ。そしてここが、転校生のいる位置。この後、メグミが秒速5,5メートルで走り、『遅刻、遅刻〜』とか言いながらパンを口にくわえ学校を目指す。するとだ。なんと三丁目の交差点で二人はぶつかるのだ〜っ!!」
力説しながら三丁目の交差点の部分をペンで何度も叩いた。
先の潰れたペンを床に捨てると、すばやく母が新しいペンを差し出す。
ペンを受け取ると顔を真っ赤にさせた父はさらに捲くし立てる。
「ぶつかり倒れた二人『痛ーっ!! もう何よ!!』
『そっちこそ気を付けろよ!!』『なんですってー!! キーッ!!』という具合に喧嘩を始める」
「……なにそれ」
父が熱弁すればするほど私はだんだん不安になってきた。
っていうより早く学校に行きたい。
「不機嫌になりつつもメグミは学校へ遅刻ギリギリでたどり着き、ホームルームに間に合う。そこにはなんとさっきぶつかった転校生がっ!!
『ア、アンタはさっきの目狐男!』
『お、お前はたぬき女!』
そして二人のほのかな恋が始ま――」
「始まりませんっ!!」
はっ。
思わずツッコんでしまった。
「父さん、父親として彼氏出来るのは寂しいけど、これもお約束のためだ」
「バカ?」
だからお約束って何なのよ。
父は拳を振り上げ、全てを出し切った余韻を楽しんでいる。
よし、今のうちに学校へ行こう。
そこへ私が忍び足でキッチンを出ようとしたところを見計らうかのように父の携帯電話が鳴った。
「お、落ち着け! これも全てお約束のためだ!」
「ん!? お約束?」
「はい、お父さん。解説、解説」
すると母はどこからかホワイトボードを出してきた。
いそいそと黒のペンを持って周辺の地図を書き出す父。
くだらないことでこの夫婦は息が合っている。
「ここが私たちの家だ。そしてここが、転校生のいる位置。この後、メグミが秒速5,5メートルで走り、『遅刻、遅刻〜』とか言いながらパンを口にくわえ学校を目指す。するとだ。なんと三丁目の交差点で二人はぶつかるのだ〜っ!!」
力説しながら三丁目の交差点の部分をペンで何度も叩いた。
先の潰れたペンを床に捨てると、すばやく母が新しいペンを差し出す。
ペンを受け取ると顔を真っ赤にさせた父はさらに捲くし立てる。
「ぶつかり倒れた二人『痛ーっ!! もう何よ!!』
『そっちこそ気を付けろよ!!』『なんですってー!! キーッ!!』という具合に喧嘩を始める」
「……なにそれ」
父が熱弁すればするほど私はだんだん不安になってきた。
っていうより早く学校に行きたい。
「不機嫌になりつつもメグミは学校へ遅刻ギリギリでたどり着き、ホームルームに間に合う。そこにはなんとさっきぶつかった転校生がっ!!
『ア、アンタはさっきの目狐男!』
『お、お前はたぬき女!』
そして二人のほのかな恋が始ま――」
「始まりませんっ!!」
はっ。
思わずツッコんでしまった。
「父さん、父親として彼氏出来るのは寂しいけど、これもお約束のためだ」
「バカ?」
だからお約束って何なのよ。
父は拳を振り上げ、全てを出し切った余韻を楽しんでいる。
よし、今のうちに学校へ行こう。
そこへ私が忍び足でキッチンを出ようとしたところを見計らうかのように父の携帯電話が鳴った。
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