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君からの手紙〜47〜

[347]  YOSI  2009-07-18投稿
「2年前、ある女性と交際していた、一人の青年がいました…彼はレコード会社に勤めてました。
彼はある曲に出会い、その曲を世に出そうとしてました。
自分の体が病魔に侵されているのも気づかずに…」
勇一は、石田に対して、核心とも言える部分を語りはじめた。
「その青年が、愛した女性が夕樹さんだったんです」
「夕樹さん…」
「ええ…運命のいたずらかと思いましたよ。だって、由美と、その青年が追い求めた曲が同じだったんですから…」
「だとしたら…その曲のせいで、荒木さんや夕樹さんは、不幸な目にあってますね?誰も幸せになってない」
石田の指摘は最もである。
「かもしれませんね。…でも、俺も夕樹さんも、追い求めているんです。いや2人だけじゃない。手紙を渡した嶋野さんや森田さんも、その曲がどんなものだったか知りたいんです。…でないと、きっと閉ざされたものが開けないような気がするんです」
石田は、驚いていた。
冷静沈着な勇一が、ここまで熱く語っているからだ。
「残念ながら、俺は、その曲を生で聞いたのに、その人の顔も声もほとんど覚えてない…だから後悔してるんです。きっと…きっとその曲と、作った人に会えれば、俺は、由美もその青年…奥村利夫さんも報われると思うんです」
「そうですか…そうなるといいと思いますよ。何か手がかりがあるんでしょうか?」
「その人は、秀さんと呼ばれていたそうです」
「秀さん?…ああ、だから俺が、かかわりがあると思ったんですか?…すいません。俺はたまたま『秀』とゆう名前が付いているだけですよ」
それを聞いて、勇一は残念そうな顔をした。
「そうですか…すいませんでした。時間を作ってもらって…」
「いえ、俺もゆっくり荒木さんと話せて良かったです」
「じゃあ俺帰ります。ありがとうございます」
「お疲れ様です」
勇一は帰りかけようとして、振り返った。
「ああ、そうだ」
「何でしょう?」
「由美が好きだったフレーズがあるんですよ」
「フレーズ?」
「ええ。『ただ…ありがとう。ただ…幸せでした』です」 「そうですか…」
「俺は、奇跡を信じてます。秀さんとゆう人に会えることを。それじゃ」
勇一は、会計伝票を持って帰っていった。
石田は、しばらくの間考え込んでいた

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