携帯小説!(PC版)

トップページ >> ファンタジー >> 梟は二度鳴く(8)

梟は二度鳴く(8)

[248]  なつ  2009-07-20投稿
ミケーロは自分のワンルームの安アパートに戻った。
部屋は見渡す限り生活感を感じられないほど小綺麗で殺伐としていていた。
唯一本棚に入りきらず乱雑に山積みにされたなん冊かの本がその場を乱していた。
ミケーロは去り際にチェーザレから手渡された資料を机の上に並べた。それにはターゲットの個人情報からその家の見取り図まで綿密に記述されていた。
彼はターゲットの容姿を頭にたたき込むと計画のプロセスを頭の中で何度もシミュレーションした。
ふと顔を上げて時計をみると針は一時をすぎたところを指していた。
計画を決行する時刻は決めていた。夜が明ける直前、人々の集中力が一番ゆるむ頃。おそらく何人かの護衛が常に控えているはずだ。それらに悟られぬよう静かに殺す必要があった。
まだ夜明けまでには時間がある。ミケーロは立ち上がりシャワーを浴びることにした。
彼は石鹸を使わずに丹念に体をあらった。人の香水の移り香や、汗などのわずかな生活臭を消すために。特にシャンプーの香りが残る髪の毛は長い時間かけて水で洗い流した。
シャワーからあがった彼からは体臭というものがなくなっていた。
洗面台の鏡に視線をやると湯気で曇っていて見えなかった。理由もなくただふと鏡をタオルで拭いてみた。
そこに人殺しの顔をしている自分を見つけた。それに鳥肌が立つほどの嫌悪感を感じ、気がついたときには拳でガラスをたたき割っていた。
粉々になったガラスを見て小さくしたうちをした。幸い拳に傷はなかった。
タオルで体の水滴を拭き取ると、清潔な服に着替えた。黒を基調とした何の変哲もないスポーツブランドの私服だが、長袖で体のラインがはっきりわかるほどにタイトなものを選んだ。
着替え終わるとベッドに座りベッドサイドテーブルの鍵がかけられた引き出しからナイフを取り出した。
しばらくそのナイフを手のひらで転がすようにもてあそんだ。
時計を見ると4時少し前だった。

「頃合いだ」

ミケーロは一人そうつぶやくとナイフを腰に下げた鞘に納め、その上からジャケットを羽織り部屋を出た。

感想

感想はありません。

「 なつ 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス