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ある男の日記 #3

[431]  ルイス・サイファー  2009-07-21投稿
2月9日

今朝目覚めたら身体にアザがある事に気付いた。


覚えも無いが、痛みも無い。


シャワーで消えなかったので汚れや気のせいでも無い。


なにやら打撲の痕の様に見える。


とりあえず出勤し、仕事を終え、帰宅して風呂に入った。




アザが消えている。




もう訳が分からん。





2月14日

仕事終わりに待ち合わせして女房と外食した。



時々思う。


小さな安らぎが人生を満ち足りたものにする幸福になる。


不可解な事も嫌な事も全て忘れて楽しめた。





2月19日

昨日。夕刻。

仕事中、出先の狭い路地で見知らぬ男に襲われた。


奇妙な形のナイフで突然切りかかってこられて頬が切れた。


足の震えを抑え、人違いと主張したが意味不明な事を男に言われた。


「正体を晒せ」


とか


「お前は誰だ」


とか‥


身分を説明し、名刺を渡そうとしたら怪訝な顔で睨まれた。


男は気が変わったのか、


「お前が光の者だったら次は殺す」


と言って走り去った。



腰が抜けてその場に座り込んでしまった。




気がついた時には日が暮れていた。



会社に連絡し、そのまま帰った。


帰り道、自分の中の別人格の可能性を思い出した。



怖くなった。



家で出迎えた女房は慌てながらも傷の手当てをしてくれた。



ベッドの上、女房に抱かれたまま、泣いた。


今日。

仕事を休み、警察に被害届を出した。


色々と根掘り葉掘り聞かれたが、とりあえずの手続きと感じた。



そのまま心療内科に行って、そこでも色々と話した。


定期的なカウンセリングを勧められた。


薬を処方され、説明されたが頭に入らなかった。



おれは、


おれと女房の幸福は、


どうなっちまうんだろう‥





2月20日

大きな不安を感じるだろう。


未知は不安と、時に恐怖をもたらす。


だがそれは絶望ではない。


未知には希望も存在している。


危ぶむべきは未知を恐怖と断定してしまう過ちである。


光を見よ。


そして己の魂が希望たる光である事を知れ。


未知なる未来は、変革を遂げながらも続いてゆく。



歩みを止めず、想う者には必ず道は開かれる。



ただ前へと進め。

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