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MLS-001 012

[658]  砂春陽 遥花  2009-07-22投稿
暗闇に響く轟音。

花鼓と明広は
ガラスが砕け散る音で
目を覚ました。

花鼓は、とっさに
布団を顔の近くまで引き上げ、
明広は
素早くベッドから飛び降りた。

窓ガラスの破片が
花鼓の布団の上一面に
散らばっていた。

枕元にも
大きな欠片が
二枚、三枚と落ちている。
顔にあたらなかったのは
運がよかったと言う他ない。

割れた窓の前に
2メートル近くある大男が
のっそりと立っていた。

星の見えない空をバックに、
街の灯りが、
男のいかつい肩と
太さが花鼓の胴回り程ある
二の腕の輪郭を
映し出していた。

眠りの淵から
無理矢理引き戻された
2人の頭でなくても、
この窮地に
適切に対処することは
不可能だったに違いない。

明広は、急ぎ、
辺りを見回したが、
武器になりそうな物は
一つもない。
思わず
自らの浅はかさを呪う。

大男は
ためらいなく
花鼓の布団を剥ぎ取り、
その身を軽々と
肩に担いだ。


花鼓がさらわれる。


明広の足が
地を蹴った。

幸か不幸か
大男は
窓の外に気をとられて
明広の動きに
気付いていない。

後少しで
花鼓の体に届く。

そのとき

窓の外から現れた
もう一人の人間の脚が、
明広の顔をとらえた。

バランスを失ったところで
今度は
気が付いた大男の拳が
弧を描いて
みぞおちを襲う。

宙を飛んだ体は、
入り口に引かれた
カーテンを通り抜け、
鉄製の扉に
大きな音を立てて
ぶつかった。

苦い液が
口いっぱいにあふれ、
明広は激しく咳き込んだ。

「離して。」

草が
どんなに強くそよいでも、
大木を揺るがすことは出来ない。

必死に手足をばたつかせる
花鼓の抵抗は虚しく、
大男の腕は
びくともしなかった。

感想

  • 24862: 翔:一気に静から動へ!まるでアクション映画の様なスケールです [2011-01-16]
  • 27218: 最高の誉め言葉です!あまり暴れたことはないもので(笑)知識 [2011-01-16]
  • 27220: 不足に悩まされました(^_^;):遥花 [2011-01-16]

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