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ポジティブ・アクション7

[553]  ミッシェル  2009-07-31投稿

「宜しくスティーブ。じゃあ、話すわ」

メアリーは一呼吸置き、ゆっくりとスティーブに語り始める。


彼女は5年前、17歳の頃、大きな事件に巻き込まれる。

それは、真夏の夜の出来事だった。

一人っ子のメアリーは、父と母の三人で暮らしており、その日何時も通りにメアリーは二階の寝室、父と母は一階の寝室で眠りについていた。

だが、時計の針が12時を廻った頃、悲劇は幕を開けた。

二階の寝室で深い眠りについていたメアリーだったが、一階から聞こえた凄まじい両親の悲鳴を聞いて目を覚ます。

只ならぬ恐怖心が彼女を襲い、メアリーは一階へ降りる事が出来なかった。

両親に何があったのか確認したい彼女であったが、恐怖心が勝り、思うように体が動かない‥。

やがて、両親は“殺された”という考えが浮かぶようになり、それを考えると彼女は自然と目から大量の涙が流れ始めた。

色々考えている内に、ある異変に気付く。

それは、やけに家の中が熱いのだ。

寝室に閉じこもっていたメアリーは、すかさず寝室の扉を開け、外へ飛び出す。

だが、外へ飛び出た瞬間彼女は驚愕した…。

……家が燃えている。

何と、火が一階から二階へとのぼってきていたのだ。

「キャャーッ!! 助けてェー!!」

彼女は悲鳴をあげ、再び寝室へと飛び込む。

息苦しさを感じたメアリーは、寝室の窓を開け放った。

そこで、メアリーはその窓からの脱出を試みるが、ここは二階。

足場も何もなく、下へは降りられない…。

とうとう覚悟を決めたメアリーだが、その時、一人の勇敢な男が寝室の扉を開け、彼女の目の前へと姿を現した。

「大丈夫か? お嬢さん」

男は優しく彼女に言った。

「ゲホッゲホッ、だ、大丈夫よ」

「良かった。さあここから出るぞ!」

「わっ!」

その男は、メアリーを抱き上げ寝室から飛び出した。

男は火の抵抗などもろともせず、物凄いスピードで突き進む。

その途中、メアリーは男の胸の中で叫ぶ。

「パパッ!! ママッ!!」

メアリーはひたすら泣きじゃくった。

「諦めろ‥。もう遅い‥」

そしてついに二人は、燃え盛る家からの脱出に成功したのだった。


続く

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