携帯小説!(PC版)

狂気

[621]  2009-07-31投稿
蒸し暑い夏の夜。

自宅の電話が鳴った。
「もう勘弁して下さい」


押し殺すような男の声。

たまたま電話に出たのは私だった。


男は姉の会社の上司だと名乗った。


姉と男は一年前から 不倫の関係にあった。

男の妻が妊娠したことを、きっかけに男は一方的に姉に別れを告げた。


姉が異常なる行動に出たのは別れた直後数ケ月前からだという。


男の携帯に姉からの執拗な嫌がらせ電話が、一日に何百回とかかってくるらしい。


当然着信拒否にして無視してきたが、諦めない姉の執念に、精神的に参ってきたらしい。


警察沙汰にはしたくないと男。


出世や家庭を壊したくないと…


姉は会社では、普段通り仕事をこなしていたが、最近の姉の様子は危機迫るものを感じるらしい。


男は何度か姉を待ち伏せして話し合おうと試みたが、結局
水掛け論で終わったらしい。


私はショックのあまり、言葉がなかった。


だが疲労困憊した男の声に嘘偽りは感じられなかった。


こんな恐ろしいこと老いた両親には、とても話せない。


私は真相を確かめるべく姉に男からの電話内容を全て打ち明けた。

「そうよ」

姉は、あっさり認めた。


「あいつの方が失うものが大きいのよ。何もなかったことにはさせないわ」


開き直った態度というより憎悪を感じる。


自慢の姉だった。


美人で頭がよくて…
男性にもモテるのに。
誰もが羨むものを持っているのに
何故 こんな選択しかできないのか。


「男の狡さが許せないのよ」

姉の眼が、ぎらぎら艶を帯びていた。


「泥をかぶる時は道連れにしてやるわ」

感想

  • 16391: 凄い続きが気になります! [2011-01-16]
  • 17227: こわぃぃぃ(>_<):ゅゅ [2011-01-16]

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