荷造りはすませて
あたしの荷物は昨日に全部出してしまったし、浩二は物を持つことが嫌いなので荷物が異様に少ない。
がらんどうの部屋に、二人の噛み合わない会話だけが虚しく響く。
部屋の隅の床に置かれたままの赤いコーヒーメーカーは、いまだにどちらの物でもない。初めて二人で買った物だから、思い出が強すぎてどちらも引き取ることができない。
沈黙が続いて、それから浩二はコーヒーメーカーのほうを向いて口を開いた。
「これを買ったときには、こんな日が来るなんて思いもつけへんかった。こうしてこれから一緒に買う物が増えて、一緒に過ごして、いつかは結婚して、一緒に年をとっていくんやって思ってた。何があったって訳ちゃう。ただなんか…上手くいかへんようになってしまったんや」
がらんどうの部屋に、二人の噛み合わない会話だけが虚しく響く。
部屋の隅の床に置かれたままの赤いコーヒーメーカーは、いまだにどちらの物でもない。初めて二人で買った物だから、思い出が強すぎてどちらも引き取ることができない。
沈黙が続いて、それから浩二はコーヒーメーカーのほうを向いて口を開いた。
「これを買ったときには、こんな日が来るなんて思いもつけへんかった。こうしてこれから一緒に買う物が増えて、一緒に過ごして、いつかは結婚して、一緒に年をとっていくんやって思ってた。何があったって訳ちゃう。ただなんか…上手くいかへんようになってしまったんや」
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