奇跡 6
「時間取らせてごめんなさいね。」
初めて見る、達也の母親…。
顔は似ている…。
「私は大丈夫です。」
軽い挨拶を済ませ、達也の母は口を開いた。
「達也の事なんだけど…。」
「はい…。」
「達也の所へ戻ってもらえないかしら…。」
「えっ…?」
突然の言葉。
「あの………。」
何故ですか…?
その言葉が出てこなかった。
「達也が事故に遭ってね、記憶喪失になってるのよ…。記憶喪失なんだけど、何故か、あなたの名前ばかり言うから、逢いたいのかと思って…。」
「あたしの名前ですか…?」
「ええ…。」
私の事を達也はまだ覚えている……。
私の中で<希望>が見えてきた。
でも、どうして達也自身、私を捜さなかったんだろう…。
「あの…達也さんは今…。」
私がお母さんに問い掛ける…。
「仕事復帰はしたんだけどね…あんまり上手くいってなくて…。やっぱり障害があるとダメなのかしらね…。少しうつ病にもなってしまって…。」
頭を抱える達也のお母さんの手は細く疲れている。
それを見たら胸が苦しくなった。
「お願いできますか…?」
涙目の瞳が私を見つめた。
「はい…わかりました。」
少しためらった。
もしかしたら、
逢ってしまったら、
達也は混乱してしまうのではないか…。
不安にも思った。
怖い……。
お母さんと別れた後、自宅へと向かう足は重く感じた。
真ん丸の満月がいつもより明るく感じた。
(よく達也と満月みたっけ…)
そう呟いたとき、達也がよく口にしてた言葉を思い出した。
私が、仕事で落ち込んでいた頃…。
『あかねは、奇跡が起きればいいのにってよく言うけど、奇跡って神様がくれるもんじゃないんだよ。奇跡は自分が作るもの。自分が頑張ればきっと奇跡が起きるんだよ。あかねは毎日努力してるから、きっと奇跡は起きるよ。だから、頑張れ。』
ポタっと涙がこぼれた…。
達也…あなたに『奇跡』が起きればいいのに…。
満月に願いを掛けながら、ゆっくり歩いた。
涙は止まらない。
私は明日、あなたに逢いに行きます。
初めて見る、達也の母親…。
顔は似ている…。
「私は大丈夫です。」
軽い挨拶を済ませ、達也の母は口を開いた。
「達也の事なんだけど…。」
「はい…。」
「達也の所へ戻ってもらえないかしら…。」
「えっ…?」
突然の言葉。
「あの………。」
何故ですか…?
その言葉が出てこなかった。
「達也が事故に遭ってね、記憶喪失になってるのよ…。記憶喪失なんだけど、何故か、あなたの名前ばかり言うから、逢いたいのかと思って…。」
「あたしの名前ですか…?」
「ええ…。」
私の事を達也はまだ覚えている……。
私の中で<希望>が見えてきた。
でも、どうして達也自身、私を捜さなかったんだろう…。
「あの…達也さんは今…。」
私がお母さんに問い掛ける…。
「仕事復帰はしたんだけどね…あんまり上手くいってなくて…。やっぱり障害があるとダメなのかしらね…。少しうつ病にもなってしまって…。」
頭を抱える達也のお母さんの手は細く疲れている。
それを見たら胸が苦しくなった。
「お願いできますか…?」
涙目の瞳が私を見つめた。
「はい…わかりました。」
少しためらった。
もしかしたら、
逢ってしまったら、
達也は混乱してしまうのではないか…。
不安にも思った。
怖い……。
お母さんと別れた後、自宅へと向かう足は重く感じた。
真ん丸の満月がいつもより明るく感じた。
(よく達也と満月みたっけ…)
そう呟いたとき、達也がよく口にしてた言葉を思い出した。
私が、仕事で落ち込んでいた頃…。
『あかねは、奇跡が起きればいいのにってよく言うけど、奇跡って神様がくれるもんじゃないんだよ。奇跡は自分が作るもの。自分が頑張ればきっと奇跡が起きるんだよ。あかねは毎日努力してるから、きっと奇跡は起きるよ。だから、頑張れ。』
ポタっと涙がこぼれた…。
達也…あなたに『奇跡』が起きればいいのに…。
満月に願いを掛けながら、ゆっくり歩いた。
涙は止まらない。
私は明日、あなたに逢いに行きます。
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