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奇跡 <終り>

[537]  木村蜜実  2009-08-02投稿
「愛してるから…俺と一緒に死んでくれ…。」

そう、達也は自殺した…。

私を置いて…。

達也の母親が止めに入ったのに、遅かった。

私は、生きていた…。

自分が憎いほどだ…。

あの人と一緒に行かなきゃいけなかったのに…。

私一人生きている。

気が付いたら病院だった。

目が覚めると泣いてる春香がいた。

達也のお母さんは泣いて何度も謝ってきた。

お母さんの方が辛いはずなのに…。




奇跡は起きたけど、
奇跡は…私が望んだ奇跡は起きなかった。

誰が悪い訳でもない。

『あかね…愛してる…』

あの人が呼んでいる。

私は達也の所へ行かなければならない。

あの人への返事をまだしていない。

病院の屋上。

背中を刺された痛み。

上手く歩けない私。

網を上り、あの日見た満月を見上げる。

「今、行くから…。」

まるで、達也が返事をしてくれてるように、温かい風が吹いていく。

満月と星を見ながら、体が宙に浮いて、ゆっくり落ちて行く…。

達也と見たあの満月が、私を見つめている気がした…。


そのまま…目をつぶる…。


『達也、愛してる…。』

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