呪縛
『ドーン、ドーン、ドーン、ドーン・・・』
あの日、二人きりの体育館中に響くドリブルの音がとても心地よく、すごく安心できた・・・。
「下に出せー」
「そこディフェンス出ろ!」
「今のシュートシュート」
「ナイッショ!!今日調子良いじゃ〜ん」
体育館の中に絶えず響く個々の声、この感覚私は嫌いじゃない。もうすでに慣れた環境だからだろうか?それともあの人がいるという安心感と、嬉しさからだろうか?
普通なら私くらいの年になるとこんな環境でまでバスケをやろうとは思わないだろうから。
田名部 亜紀乃(たなべ あきの)とりあえずは普通の中学三年生。ちょっとだけ他の子達と違うところがある・・・。そのちょっとだけ違うところ、それは亜紀乃がバスケをしているこの環境。
ここはアマチュアナイターバスケットチーム【GOT CHILDREN】の貸し切り体育館、そして亜紀乃はこのチームの一員として練習に参加している。また、何よりも不自然なこと、それはこの【GOT CHILDREN】が男子チームだということだった。
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