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呪縛?

[292]  涼汰  2006-07-24投稿

 亜紀乃がこの不自然な状況に至るまでは、彼女が卒業を控えた小学校六年生の頃までさかのぼる。

 あの頃の彼女は、小学校のミニバスチームのキャプテンを務めていた。もちろん女子チームのだが・・・。先日、引退試合も終え、世代交代のためのキャプテン引継ぎも済んだ彼女ら六年生に、コーチである嶋 由空(しま よしあき)はある提案を持ちかけていた。

「お前ら、中学校行ったら部活どうすんの??バスケやるんなら、高いゴールとかルールに慣れといた方がいいぞ。もし、そっちの方でやってみたいって言うんなら俺んとこのチームに連れてってやるけど。誰か行きたい人いる??」

『はいっっっ!!』

 真っ先に手を上げたのが亜紀乃だった。それに続き、葉山 沙希(はやま さき)、浜崎 香奈(はまさき かな)、吉岡 恵美(よしおか めぐみ)が手を上げた。
 結局、“行きたい”と申し出たのは、十数人いる六年生メンバー中の、亜紀乃を含めた四人だけだった。

 
 部活後、亜紀乃が商店で買い食いをしようとしていると、同じ目的で訪れるのであろう、沙希、香奈、恵美の三人が、亜紀乃のことを確認すると数十m先から駆け出してきた。

「亜紀乃〜!!」

 手を振りながら、全速力で沙希が駆け寄ってきた。

「沙希マジ速すぎだし〜」

 少し間を置き、香奈も亜紀乃の元に到着した。恵美はと言うと、もうすでに走ることもせず、ゆっくりとこっちに向かっていた。

「恵美おっそ〜い!!」

「え〜、だってダルいもん」

 恵美が到着するのを待って、四人は店の中に入りそれぞれが好きなお菓子を買い、店を出た。

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