子供のセカイ。45
「ジーナ。」
「ん?」
「この領域の出口を教えてほしいんだけど。」
ジーナは美香の目を見ずに答えた。
「ここから東へ2日ほど歩いた所、東国サハールの手前のサボテン地帯にある。」
美香は考えた。東国サハールの手前ということは、ジーナにとって『味方じゃない』国の側へ行かなければならないということだ。ジーナはどうやら西国ミルトの住人らしいし、最初に出会った時の様子からしても両国の仲は良好とは言えない状況のようだから。
(……そういえば、)
「ジーナは、私たちがあの歌を知らないってことで、味方と判断したのよね?」
「ああ。」
「じゃああの歌は、東国サハールの国歌なの?それに、味方と確認したはずなのに剣を納めなかったのはどうして?」
いつもハキハキとしゃべるジーナが、この時は珍しく返事を渋った。それも、不機嫌というよりは悲しげな表情で。聞かない方がよかったか、と美香は内心ハラハラしたが、その時ジーナはようやく答えた。
「あれは確かにサハールの国歌だ。……そして、それを知っていようがいまいが、私はお前たちを斬り殺すつもりだった。」
大人の人間ならな、とジーナは苦く笑いながら呟いた。美香はジーナが、砂の上に置いてある鞘のはまった剣の柄に手をかけたままにしているのに気づいて、思わず背筋がゾッと寒くなった。大人、なら。美香は自分と王子がまだ無垢な子供であったことに心から感謝した。しかし、一体なぜ?
美香がジーナの手元を見つめたまま固まっていると、ジーナはその視線に気づいて慌てて剣の柄から手を離した。
「悪い。つい癖で、な。」
「……どうして私たちを殺そうと思ったの?」
ジーナはうつむき、ぽつんと呟いた。
「……我が王の命による。」
「人殺しを命じられたの?」
ジーナがあんなに心にかけていた王が、酷いことをする。美香は眉をよせたが、ジーナは首を振って美香の考えを打ち消した。
「砂漠への侵入者の排除を命じられただけだ。例え誰であろうとな。ただ私がサハールの住人かどうか確かめたのは、それによって殺し方を変えたかったからだ。」
ジーナはさらりと恐ろしいことを口にした。
「ん?」
「この領域の出口を教えてほしいんだけど。」
ジーナは美香の目を見ずに答えた。
「ここから東へ2日ほど歩いた所、東国サハールの手前のサボテン地帯にある。」
美香は考えた。東国サハールの手前ということは、ジーナにとって『味方じゃない』国の側へ行かなければならないということだ。ジーナはどうやら西国ミルトの住人らしいし、最初に出会った時の様子からしても両国の仲は良好とは言えない状況のようだから。
(……そういえば、)
「ジーナは、私たちがあの歌を知らないってことで、味方と判断したのよね?」
「ああ。」
「じゃああの歌は、東国サハールの国歌なの?それに、味方と確認したはずなのに剣を納めなかったのはどうして?」
いつもハキハキとしゃべるジーナが、この時は珍しく返事を渋った。それも、不機嫌というよりは悲しげな表情で。聞かない方がよかったか、と美香は内心ハラハラしたが、その時ジーナはようやく答えた。
「あれは確かにサハールの国歌だ。……そして、それを知っていようがいまいが、私はお前たちを斬り殺すつもりだった。」
大人の人間ならな、とジーナは苦く笑いながら呟いた。美香はジーナが、砂の上に置いてある鞘のはまった剣の柄に手をかけたままにしているのに気づいて、思わず背筋がゾッと寒くなった。大人、なら。美香は自分と王子がまだ無垢な子供であったことに心から感謝した。しかし、一体なぜ?
美香がジーナの手元を見つめたまま固まっていると、ジーナはその視線に気づいて慌てて剣の柄から手を離した。
「悪い。つい癖で、な。」
「……どうして私たちを殺そうと思ったの?」
ジーナはうつむき、ぽつんと呟いた。
「……我が王の命による。」
「人殺しを命じられたの?」
ジーナがあんなに心にかけていた王が、酷いことをする。美香は眉をよせたが、ジーナは首を振って美香の考えを打ち消した。
「砂漠への侵入者の排除を命じられただけだ。例え誰であろうとな。ただ私がサハールの住人かどうか確かめたのは、それによって殺し方を変えたかったからだ。」
ジーナはさらりと恐ろしいことを口にした。
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