君がいる〜矛盾〜
君は僕よりも年下だけど
僕よりも大人だった
僕には結婚して十年経つ妻がいる
避けてきた壁にぶち当たるときは必ずやってくる
早過ぎた現実
あさはかだったのは僕だった
妻が君に電話をしたのは
君との関係が始まってから二ヶ月のときだった
君はそんなときも冷静だった
妻の口調からそれを感じ取れた
妻に内容を聞くことは出来なかったけれど
きっと君なら自分を押し殺してでも僕を庇ってくれた
争いを穏便に終わらせられたのもきっと君のおかげだ
職場では僕の方が君を避けた
そうしたい訳ではなかったのに
どうしても君への罪悪感で平静を装うことが出来なかった
話をしたいと言ってきたのは君の方からだった
あれは忘れもしない
日差しが眩しい屋上のベンチ
君の手にはハンカチが握り締められていた
振り返る君の目は赤く潤んでいた
僕がくるその時まで一人で泣いていたのだろう
僕の顔を見た瞬間君は声を殺して無数の涙を流した
何度も何度も『ごめんね』を繰り返す君
『謝らないで、悪いのは僕だから』と頭を撫でた
それでも小さな肩を震わせて涙を止めずに謝っていた
妻には君との終わりを誓い
君を目の前にした僕は君とまだ一緒にいたいと心から願う
矛盾だらけの言動は許されるはずもない
そんな僕に
『まだ好きでいたい』と弱々しく言った
僕の苦しみなんて君に比べればちっぽけだった
僕よりもずっと罪悪感に苦しんだのだろう
握り返してきた君の手の感触から君の想いを感じた
僕は何を守りたかったのか
隣で泣き続ける君の腕を掴んで遠くまで逃げてしまえばよかった
どこまでも
あてなどなくても
『君を守るよ』と言って君と走ればよかった
僕よりも大人だった
僕には結婚して十年経つ妻がいる
避けてきた壁にぶち当たるときは必ずやってくる
早過ぎた現実
あさはかだったのは僕だった
妻が君に電話をしたのは
君との関係が始まってから二ヶ月のときだった
君はそんなときも冷静だった
妻の口調からそれを感じ取れた
妻に内容を聞くことは出来なかったけれど
きっと君なら自分を押し殺してでも僕を庇ってくれた
争いを穏便に終わらせられたのもきっと君のおかげだ
職場では僕の方が君を避けた
そうしたい訳ではなかったのに
どうしても君への罪悪感で平静を装うことが出来なかった
話をしたいと言ってきたのは君の方からだった
あれは忘れもしない
日差しが眩しい屋上のベンチ
君の手にはハンカチが握り締められていた
振り返る君の目は赤く潤んでいた
僕がくるその時まで一人で泣いていたのだろう
僕の顔を見た瞬間君は声を殺して無数の涙を流した
何度も何度も『ごめんね』を繰り返す君
『謝らないで、悪いのは僕だから』と頭を撫でた
それでも小さな肩を震わせて涙を止めずに謝っていた
妻には君との終わりを誓い
君を目の前にした僕は君とまだ一緒にいたいと心から願う
矛盾だらけの言動は許されるはずもない
そんな僕に
『まだ好きでいたい』と弱々しく言った
僕の苦しみなんて君に比べればちっぽけだった
僕よりもずっと罪悪感に苦しんだのだろう
握り返してきた君の手の感触から君の想いを感じた
僕は何を守りたかったのか
隣で泣き続ける君の腕を掴んで遠くまで逃げてしまえばよかった
どこまでも
あてなどなくても
『君を守るよ』と言って君と走ればよかった
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