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君がいる〜矛盾〜

[170]  ふく  2009-08-04投稿
君は僕よりも年下だけど
僕よりも大人だった

僕には結婚して十年経つ妻がいる
避けてきた壁にぶち当たるときは必ずやってくる

早過ぎた現実
あさはかだったのは僕だった
妻が君に電話をしたのは
君との関係が始まってから二ヶ月のときだった

君はそんなときも冷静だった
妻の口調からそれを感じ取れた
妻に内容を聞くことは出来なかったけれど
きっと君なら自分を押し殺してでも僕を庇ってくれた
争いを穏便に終わらせられたのもきっと君のおかげだ

職場では僕の方が君を避けた
そうしたい訳ではなかったのに
どうしても君への罪悪感で平静を装うことが出来なかった

話をしたいと言ってきたのは君の方からだった
あれは忘れもしない
日差しが眩しい屋上のベンチ
君の手にはハンカチが握り締められていた
振り返る君の目は赤く潤んでいた
僕がくるその時まで一人で泣いていたのだろう

僕の顔を見た瞬間君は声を殺して無数の涙を流した
何度も何度も『ごめんね』を繰り返す君
『謝らないで、悪いのは僕だから』と頭を撫でた
それでも小さな肩を震わせて涙を止めずに謝っていた

妻には君との終わりを誓い
君を目の前にした僕は君とまだ一緒にいたいと心から願う
矛盾だらけの言動は許されるはずもない

そんな僕に
『まだ好きでいたい』と弱々しく言った

僕の苦しみなんて君に比べればちっぽけだった
僕よりもずっと罪悪感に苦しんだのだろう
握り返してきた君の手の感触から君の想いを感じた

僕は何を守りたかったのか
隣で泣き続ける君の腕を掴んで遠くまで逃げてしまえばよかった
どこまでも
あてなどなくても

『君を守るよ』と言って君と走ればよかった

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