―ドガンッ｡

えぐるような震動が俺を襲う｡
音で例えるなら雷、震度でいうなら巨大鯰が、でんぐり返し限定のオリンピックを開いてる感じの揺れ｡
自分の足元が揺さぶられて、俺とクリスはまともに立つ事ができない｡いや、してはいけない気がする｡


そこには、手がある｡倉庫の天井を突き破る形で、天を掴むように手を広げていていた｡暗闇の闇に溶け込む事のない、黒と白の対極のデザインが、その手に備え付けられた【重量重力場】のエメラルドの輝きを際立たせる｡あれは...

『姉さんっ!!!!』

考えつく前にクリスが走りだす｡アイツの女性に対する思想がよくわかる行動だ｡
俺も走る事にする｡局長の事もあるが、【あの手】の本体が気になるからだ｡








―その倉庫内は【灼熱地獄】だった｡【あの手】というか、その本体が起き上がったようで、周りの火薬を誘爆してしまったらしい｡
いまだ、倉庫には爆発と爆音が鳴り響く｡

・・・それで今の俺｡
クリスはもう見えない場所行ってしまったので、俺は一人、灼熱の大気の中にさらされていた｡馬鹿だとは自分でも思う｡しかし、それにしても・・・

「あ〜あぢぃ〜〜....、クリスゥｩ−−・・・局長ぉぉ・・・｡」

情けなくもこんな事を言ってしまう自分がいた｡爆音と閃光が耳と視覚を奪っているのか、なんか体が安定しない｡

「ここは、何処だ？」

爆発によってコンテナの位置が変わってる｡今までの歩き慣れかんて関係なかった｡

「あれ？もしかして俺・・・｡」



『アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!』



耳を疑う｡笑い声？―俺も仕舞いか？


『みぃ――――つけた♪アハッ♪』


【灼熱地獄】の中、一人の少女が大袈裟に、また気が狂ったように笑っていた｡

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