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奇跡 2章 6

[374]  木村蜜実  2009-08-06投稿
退院をして、僕は前の会社を辞め、実家へと帰ってきた。

前の会社と言っても、何やってたんだかわかんないけど…。

新しい仕事は、楽しい…。とゆいのは嘘で、ホントはイヤな所…。

ストレスも溜まる…。
周りもろくなヤツではない…。

だんだん行くのがイヤになる。

癇癪を起こす僕に、頭を抱える母。

以前の僕もこうだったんだろうか…。

たまに頭が痛くなる。

いろいろ考えてしまうから…。

部屋にいると壁ばかり見るようになった。

精神病院へ行く。

病状は母が知ってる。

僕自身わかっている。

それは心の病気…。

最近思い出した事がある。

僕は『あかね』ではなく、『春香』とゆう女性と付き合っていた事。

二股掛けていた事。

『あかね』を傷つけた事。

あかねは笑顔で僕と別れた事。

僕は、情けない男だった事…。

後悔する事は、前からの僕の性格だ…。

あかね…。
あかねに逢いたい…。

精神科に行ってから、僕は家に引きこもるようになった。

あかねを探しに行きたい。

住所は手帳に書いてある。

行けるはずだ。

でも一歩が踏み出せない…。

怖い。

なにもかもが怖い。

死にたい…。

そうだ…

こんな人生なら、死んだ方がましだ。

事故に遭った時、僕は何故死ななかったんだろうか…。

もう疲れた…。

あかね…、ごめんな。

こんな台詞、前にも言った気がする…。

いや…、あかねには言ってない気がする…。

逢って、僕の気持ちを言わなきゃいけない…。

死ぬ前に…もう一度…。

「達也…。ご飯食べなきゃ…。」

ノックをして部屋に入る母親…。

朝食をテーブルの上に置き、立ち去ろうとする。

「母さん…。」

僕は久々に口を開いた。

母は、驚いた顔をして僕を見る。

「逢いたいと強く願ったら、その人に逢えるだろうか…。」

「達也…。」

「あかねは今、僕に逢いたいと思っているだろうか…。」

窓を眺めながら、僕はボソッと呟く。

母は何も言わず、部屋から出る。

奇跡が起きるなら、僕は明日にでも、あかねを探しに行こう…。

逢わなきゃいけない…。

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