セピアカラー(4)
・マラソン大会も無事終わり、バレンタインデーが近づいてきた。去年は義理チョコをクラスの女子二人からもらった。佑人なんかは毎年十個程もらっている。モテない原田達は“バレンタインデーなんてお菓子屋の陰謀だ”なんてひがみを言っている。多分、今年は小学校最後の年だから女子の皆も本命にしかあげないだろう。かと言って本命でくれそうな娘の確率も少ないから、まず今年はもらえないと考えて間違いないだろう。
・その日は珍しく、朝早く目が覚めた事もあっていつもより二十分早く登校した。そのせいもあってか校門の前で美香と会った。何も言わずに通り過ぎようとした僕に
「おはよう」
と、挨拶をしてきた。僕は美香の顔を見ずに素っ気なく、
「おはよう」
と、言って自分の下駄箱向けて駆け出した。下駄箱に着くと心臓がドキドキ音をたてていた。思いっきり走った事もあった為だろうがそれだけじゃない事に僕は気付いていた。
・原田達はまだ登校してないみたいだった。僕より先に登校してた剛達がドッヂボールをしてたので仲間に入れてもらった。
・ドッヂボールの最中、逃げようとした時、つまづいてこけてしまった。剛はここぞとばかり僕を狙ってきた。見事にヒットしたが僕は見逃さなかった。僕を当てようとした時、剛の足が線から出ていたのだ。その事を言うと剛は“そんな事ない”と言い張った。僕も“足が線から出てた”と言い張ると剛は拳を振り上げて殴りかかってきた。図体も大きいだけあってパンチも力強かった。僕も抵抗したがあっという間に馬乗りされた。そこでやっと他の者が動いて剛の行動を止めた。泣きべそこそかかなかったが頬はじんじん痛むし口の中は切れて血が出ていた。錆びた味が口の中に広がる。教室に戻ろうとしてふと校舎を見ると四年生の教室のベランダに美香の姿があった。“格好悪いとこ見られたな”と思うとそこで初めて涙が溢れ出した。
・その日は珍しく、朝早く目が覚めた事もあっていつもより二十分早く登校した。そのせいもあってか校門の前で美香と会った。何も言わずに通り過ぎようとした僕に
「おはよう」
と、挨拶をしてきた。僕は美香の顔を見ずに素っ気なく、
「おはよう」
と、言って自分の下駄箱向けて駆け出した。下駄箱に着くと心臓がドキドキ音をたてていた。思いっきり走った事もあった為だろうがそれだけじゃない事に僕は気付いていた。
・原田達はまだ登校してないみたいだった。僕より先に登校してた剛達がドッヂボールをしてたので仲間に入れてもらった。
・ドッヂボールの最中、逃げようとした時、つまづいてこけてしまった。剛はここぞとばかり僕を狙ってきた。見事にヒットしたが僕は見逃さなかった。僕を当てようとした時、剛の足が線から出ていたのだ。その事を言うと剛は“そんな事ない”と言い張った。僕も“足が線から出てた”と言い張ると剛は拳を振り上げて殴りかかってきた。図体も大きいだけあってパンチも力強かった。僕も抵抗したがあっという間に馬乗りされた。そこでやっと他の者が動いて剛の行動を止めた。泣きべそこそかかなかったが頬はじんじん痛むし口の中は切れて血が出ていた。錆びた味が口の中に広がる。教室に戻ろうとしてふと校舎を見ると四年生の教室のベランダに美香の姿があった。“格好悪いとこ見られたな”と思うとそこで初めて涙が溢れ出した。
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