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セピアカラー(7)

[934]  優風  2009-08-06投稿
・僕と美香は無言のまま作業を続けていた。僕はなんて声を掛けようか悩んでいた。チラリと美香に目をやると目が合った。僕は慌てて目を反らす。自分でも顔が紅潮していくのがよく分かった。

・先に美香の方から声を掛けてきた。
「ゴミ、ここに集めたから一年生の拭き掃除手伝ってくるね」
そう言うが早いか踵を返し、ステージを降りていこうとした。
「あっちょっと待って」
僕は慌てて早口で呼び止めた。“なに?”と言って美香が振り返る。首を傾けてきょとんとした表情で僕を見る。
「あっいや、なんでもない」そう言うと、
「変な班長」
と、クスクス笑いながら駆けて行った。結局、卒業記念写真の事は伝えれぬまま掃除は終わりの時間を迎えた。“意気地のないやつだな”と自己嫌悪に陥りながら教室に戻ると原田と和行が駆けよって来た。
「おい、剛が詩織に一緒に写真を撮ってくれって頼んだらしいぞ」
「一番面倒臭いとか言ってたやつがさ。まさか詩織に惚れてたとはよ」
教室ではちょっとしたニュースになっていた。隣の席の詩織は明らかに恥ずかしそうにしていた。剛はというと相変わらすムスっとしてたが僕を見るとニヤリと笑いピースをしてきた。僕もそれに合わせて微笑んだ。どうやら放課後、教室で写すらしい。やっぱり、ガキ大将は違うなと思った。

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