ポジティブ・アクション21
「終わったぞ」
駆け寄るメアリーに、スティーブは微笑んで言った。
「ありがと」
彼の瞳を見つめながらそう言うと、メアリーはゆっくりとスティーブの胸に顔を沈めた。
「ははっ。どうした?」
メアリーは自分でも気付かぬ内に、その細く華奢な腕をスティーブの背中に廻していた。
「あっ、ごめん‥何してるんだろ私」
そう言って彼から離れようとしたが、その時、自分の背中に暖かい物を感じた。
――スティーブの暖かい腕だ。
スティーブは両腕を彼女の背中に廻し、離れようとする彼女を離さなかった。
「良いんだよ」
スティーブはそれだけ言い、メアリーを優しく抱く。
「スティーブ‥」
二人はお互いの瞳を見つめ合うと、ゆっくりと唇を近付けた。
二人は瞳を閉じ、抱き合いながら暖かいキスを交わす。
やがて唇を離し、二人は再びお互いの瞳を見つめ合った。
しばらく沈黙が続く中、先に口を開いたのはスティーブだった。
「久しぶりの感触だ。最高だよメアリー」
そう言って、メアリーの頬を優しく撫でる。
「スティーブ‥あなたが好きだわ」
メアリーは、彼への想いを伝えた。
スティーブは、頬を撫でる手を彼女の肩へと移動させると。
「ふふっ。どうやら、俺もそのようだ」
そう言って、ニコッと彼女に笑った。
メアリーはとても嬉しかった。
――これでやっと自由になれる。
メアリーはスティーブに想いを伝える事により、ゲイリーという呪縛から解放されたような気がしたのだった。
「宜しく“相棒”」
彼はそう言って彼女の頭を撫でると、背を向け歩き出した。
床には、2人の男が転がっている。
先程のた打ち回っていた男は、既に気絶していたようだ。
「待って、どこに行くの?」
背後からメアリーが言った。
「どっか。ここにいるのはマズい。早く別の場所に行かないとな。さっ、行こうぜ」
メアリーは頷き、彼に続いた。
(メアリー、お前は絶対俺が守ってやるぜ。何があっても)
スティーブは心の中で決心した。
続く
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