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穏やかな幸せ 前編

[512]  えり  2009-08-07投稿
携帯電話の呼び出し音が、暗闇に響いていた

俺は、自分の行動に驚き、思わず電源を切った

誰に電話するつもりだったのか
何を話すつもりだったのか

自宅に着き、自分で鍵をあけ、真っ暗な部屋の中、手探りで照明のスイッチを探した

ただいま・・・

ひとりで呟いてみた

仕事帰りに寄ったコンビニで買ったお弁当

先に、お風呂に入らないとあいつに怒られるからな

立ち上がった瞬間、俺は苦笑した

誰に怒られるんだ・・・

いつも新しいタオルや下着が置かれていた棚は、今にも崩れ落ちそうな程、洗濯物が無造作に積まれている

今日も疲れたよ

無意識に口にしていた
習慣とは、恐いものだとテレビをつけた


今日はどんな事があったの

と、優しく微笑むお前がいなくなってから、随分と経ったような気がする


お前も疲れていたんだよな

気付いてやれなくてごめん

何もかもを任せっきりにして、当たり前だと甘えてた

お前の事を弱い人間だと言ってしまった事、本気で後悔してる

俺の方が、よっぽど弱くて小さかったのに


今更、後悔してもどうしようもないけど


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