ポジティブ・アクション25
三人はマンションの外へ出て、裏の駐車場へと来た。
そこには、スティーブの愛車であるイエロータクシーが駐車されている。
「マジで行くのかよ」
運転席の横に立つスティーブに向かってアレックスが言った。
「アレックス‥。お前を巻き込む訳にはいかない。しばらくはお別れだ」
アレックスは憂鬱になりながらも、しっかりとスティーブを見つめる。
「そうか‥。死ぬなよ」
「当たり前だ。それじゃ、またな。
近い内にまた会おうぜ」
するとメアリーがアレックスの元へと駆け寄り、彼の頬に優しくキスをした。
「わぁお。天国にいる気分だぜ」
アレックスは顔を赤らめた。
「あの時、助けてくれた時のお返しよ」
「そ、そうか。ありがとよメアリー」
――その時。
スティーブは、車道に止まる一台のローライダーからこちらを見つめるギャングの姿を捉えた。
「早速かよ。メアリー、行くぞ」
「えぇ」
2人はすぐに車に乗り込み、エンジンをかけた。
「じゃあな! ケニーさんによろしく言っといてくれ」
「おう! 幸運を祈るぜ兄弟!」
アレックスは親友との別れを惜しみながらも、彼は大きく手を振った。
「奴らだ! 追うぞ!」
ギャングは車を発進させ、車道へと飛び出したスティーブ達を後ろから追跡した。
「来たぜ」
バックミラーで後ろを確認してみると、今の所追って来ているのは一台だけのようだ。
だがいずれ、奴らは仲間を呼び寄せ、直ぐに沢山集まって来るであろう。
スティーブは勿論、そうなる事は十分分かっていた。
「メアリー! 頭下げてろ!」
次の瞬間、窓ガラスが音を立てて粉砕し、車内へと破片が飛散する。
「キャッ!!」
メアリーは両手で頭を抱え、顔を伏せた。
スティーブとギャングの激しいカーチェイスが繰り広げられ、街は大惨事となった。
走行していた車が慌ててハンドルを切り、次々と車がクラッシュしていく中、両者は勢いを緩める事なく、激しくぶつかり合う。
「ちぃ、そろそろ終わりにしてやるか」
そう言って、スティーブはローライダーに横付けし、拳銃を窓から構えた。
そして狙いを定め、ローライダーのタイヤを撃ち抜く。
「野郎!!」
続く
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