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奈央と出会えたから。<389>

[560]  麻呂  2009-08-12投稿

そ、早退って☆



今、あたしにピースしたばっかじゃん?!



『何だ?!北岡、食べ過ぎか?!』



『ちげぇーよッッ!!残念。せーり痛でした。

おっイタタタッッ。
そういうワケで、俺、もう帰るわ。』



ガラッッ――



バタンッッ――



『こ、こらっっ!!北岡っっ!!

な、何を言ってるんだっっ!!

バカモノ!!』



聖人が教室を出て行った。



ザワザワザワザワ――



教室内が、またざわつく――



FM放送は、引き続き流れている――



館長さんのお話を聞いた後は、



パーソナリティ―のアヤカさんも、



相談者のミズホちゃんも、



落ち着いたようだった――



そして、



2-3の教室内の空気も、



それまでの緊迫した雰囲気が、



まるで嘘だったかの様に、



穏やかに、



ゆっくりと流れ始めた――



結局あたし、



何も分からなかったし。



聖人。



あたし、



何も分からなかったよ。



『渋川先生。あたしも早退します!!』


ケド、ひとつだけ分かったコト――



『何だ、木下まで?!どうした?!』



このトキのあたしを、



こんな、大胆な行動にさせたのは――



『あたしも生理痛ですっっ。』



きっと、あなたのせいなんだから――



『き、き、き、木下あぁぁ〜〜〜!!』


廊下を走っているトキ――



ちょっと気持ち良かった――



クラスメイト達の言葉なんて――



全然耳に入らなかった――



玄関を出たら――



目の前には、あなたがいて――



あなたの視界には、


胸がキュンと高鳴るあたしがいた――



それは、まるで、



あの日公園で、



偶然出会ったトキのシチュエーションだったよね――



『しゃーねぇな。』


その一言に、



すごく優しさを感じたよ。



差し出された、あなたの大きな手に、



あたしの手が重なる。



『親父のバイク、ホントは昼間は乗らね―コトにしてんだケド。

今日は特別だからな。』



『うん。』



『女の子乗せんのも――』



『/////』



オマエは特別だよって、



そう言われた様な気がした――

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