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時と空の唄14-11

[321]  花神ミライ  2009-08-12投稿

まだ一人で動けないシーラをラウフが背負い、神器を封印すべくランスォールは祭壇に立った。
「これで…終わりだ。」
淡い光が煙のように漂い始め、やがてそれは強いものとなって辺りを包んだ。
「眩し…っ」

光に包まれているのは不思議な感覚だった。

穏やかな海に浮かんでいるような、何もない空間に自分だけが存在しているような、そんな感覚。

長い夢の中にいるようで、このまま永遠に覚めないんじゃないかと錯覚してしまう恐怖を内包した安らぎ。

光が収束し、ゆっくりと目を開けた。
「これが…【三種の神器】の真の姿、か。」
三角に配置された水溜まりは長い時間故に緑になり、神器はひび割れたり錆びれたりしている。
「でもこれで、全部終わったわ。」
「ああ。」
ランスォールはそれを確かめるようにしっかりと頷いた。


それから四人は途中で倒れたままのイツキを拾いルメール神殿を出た。
「メ、メイル!?」
三日後にまた来ると言っていたオッドアイの男が煙草を片手にヒラヒラとこちらに手を振っている。
どうやら四人がルメール神殿に入って行った後彼はここで待っていたらしい。
「どうして…」
「あれ、今日1日は待っててやるって言わなかったか?」


「「「「言ってない…」」」」


何も知らないとは言えメイルのマイペースに心は少しだけ軽くなった。


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