携帯小説!(PC版)

逃亡

[224]  鏡 恭弥  2009-08-14投稿
僕は逃げました。

怖いから

辛いから

悲しいから。


でも、誰一人として追う者はいませんでした。

面倒だから?

関わりたくないから?

呆れたから?


その精神に腹が立って、僕は物影に隠れて後ろの人達に言ってやりました。


「お前らはあれこれ言い訳して、結局逃げてるだけだ!」


僕は間違ってはいない、そう思っていました。

しかし、予想外の反論が来ました。


「逃げてる奴に言われたくない。
人を責めることで自分の責任を投げ出すな!」


彼もまた、自分が間違ったことを言ったとは思っていません。

そして、二人は口論を始めました。

内容は至って単純、相手を逃げてると批判し合うのです。


その光景を見た第三者が、誰にも聞こえないように呟きました。


「自分達の非を認めることから逃げてる、という点は正しいだろうが、やってることは間違っている」


彼もまた、自分が間違っているとは思いもしません。

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