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ポジティブ・アクション32

[610]  ミシェル  2009-08-14投稿

繁華街の路地裏。

そこでは、緊迫した空気が流れる中1人の男と、4人の男達が互いに睨み合いながら対峙していた。

「何の用だ? こんな所に呼び出して」

沈黙が続く中、目の前に立ち並ぶ男達に向かって言ったのはあの長髪のオールバックの男であった。

「ボスの命令だ。お前らには消えて貰う。といっても、今はお前1人だがな」

そう言ってガムを吐き捨てたのは、顔を真っ赤に染めたウォーレン。

…彼の顔は赤く腫れ上がっていた。

「何故消えなきゃならないんだ?」

男は鼻で笑うと、手にしていた煙草を口にくわえる。

「ボスが貴様等を憎んでいるからだ」

男は紫煙をくゆらせながら、

「ほぉ、なるほど。だが、俺には関係の無い事だ。さっさと俺の前から消えろ」

そう言って、彼は鋭い目つきでウォーレン達を睨んだ。

「てめぇ…お前ら! 殺れ!」

ウォーレンが手を上げたと同時に、彼の背後にいた三人の幹部達が一斉に男に向かって走り出した。

「面倒な連中だ…」

彼はそう呟き、くわえていた煙草を吐き捨てる。

「くたばれ!」

幹部はそう言って男の顔面に拳を放つが、それよりも先に男の拳が彼の顎に直撃していた。

「ぐはっ…!!」

彼は舌を噛んだのか、口から血を流しながら失神する…。

「野郎!」

続けざまに残りの二人も殴りかかるが、1人は片目を潰され、もう1人は腕を折られてその場にのた打ちまわる…。

…それはまさに一瞬の出来事だった。

「は、はぁ…貴様…」

ウォーレンは唖然としながら、男を見つめる。

「さて、どうする?」

男はそう言いながら、ゆっくりとウォーレンの元へと歩み寄る。

すると、ウォーレンは険しい顔で、

「死ね!」

彼は懐に手を伸ばし、拳銃を取り出した。

しかし、次の瞬間には男の蹴りがウォーレンの拳銃をたたき落としていた。

「何だと!?」

男は勢いを緩める事なく、間髪を入れずに拳をウォーレンに向けて放つ。

「なめるなよ…!」

彼はそう言って飛んできた男の拳を左手で掴むと、余った右手で男の首を捕らえた。

そして、そのまま男を壁に押し付けた。
続く

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