「そうか・・そうだったのか」

仁先輩は少し安心した表情になり

「悪かったな
てっきり晶がおまえらにいじめられてんのかと思ってよ、本当にすまなかった」
そう言い、女連中に頭を下げた

「そんな
頭上げて下さい、沢木先輩」

イッシーも他の連中も

仁先輩に頭を下げられ、逆に困っている

オレもいつまでもこんな所でただ様子を見ているだけという訳にもいかない

そう思い、このタイミングでやっと降りる決意ができた

「どうも」

階段を降りきる前に

仁先輩に頭を下げ、挨拶をした

「おう！」

仁先輩は、今まで上に居たオレの存在には気付いてなかったようだった

「おまえ見た事あるなー、おまえもあの公園で溜まってるこの中学の奴らの内の一人か？」

「はい、藤本っていいます」

オレが名前を言ったと同時に

仁先輩の顔が、なぜか驚いた表情に変わった

その表情が変わった理由はなんなのか・・

訳がわからず考えていると
「おまえが藤本か！」

「はい、そうっす」

オレ、何かしたか？

もしそうだとしたら、オレはここで仁先輩にボコボコにされちゃったりするのか？

女連中と、晶の目の前で

そんな格好悪い、無様な姿を見られる事になるのか

しかもよりによって、晶に・・

よくわからなねェけど

そんなふうにるなら上でずっと寝たフリしてれば良かった

そんな格好悪い事を考えながら

下に降りて来た事を後悔しながらも、もう諦めて、殴られる覚悟を決めていた、そんな思いとは裏腹に

仁先輩の口からは

予想しなかった言葉がでた・・

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