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即席パーティー!

[926]  花中島もなこ  2005-11-22投稿
 よくある話。いや、よくないか。
 俺は柿本修一。中学三年生。いや、正確には昨日卒業したんだ。だから、今春休み。
 俺は同じクラスの友達、ケンとカッちゃんと一緒に、受験勉強で長い間できなかったロールプレイングゲームを、これでもか! ってくらいやってた。

「ここ、どっちに行ったらいいんだ?」
「やべぇ、もうHPないぜっ!」

 ゲームもいよいよ大詰め。俺らはラスボスが待つ『悪魔の城』にやって来た。

 その時、泊まりがけ・徹夜のゲーム三昧のせいか、目の疲労も親指の痛みもピーク、さらに睡魔まで襲ってきて、俺は意識が遠退いていった。


「ウ……シュウ……!」

 ……誰かが、俺の名前を呼んでる。

「気がついたか!」

 目を覚ますと、ケンとカッちゃんが俺の顔をのぞき込んでいた。

「お前ら、どうしたんだよその格好……」


 ケンは何やらとんがり帽子をかぶっていて、杖を持っていた。まるで魔法使い。カッちゃんは僧侶の格好……。

「俺達、ゲームの世界に来ちまったみたいなんだ!」

――は?


んなバカな。ゲームのし過ぎでついに頭イカれたか……。
しかし、そんな俺もカッコいい鎧とマントを身にまとい、ぶっとい剣を腰に下げていた。まるで勇者……。
 コイツらの話は本当らしい。目の前にはいかにも最後のダンジョンって感じの怪しげな城が……。『悪魔の城』じゃん。
自分たちの置かれた状況に戸惑うかと思えば、二人はかなりやる気だし。

「よし! 魔王を倒しに行くぞ!」


「ってか……何で俺、僧侶なんだよ! 俺だって勇者がよかった」

「文句言うなよ。お前はパーティの回復役を担う大事な役割なんだぜ?」

「そうだけどさぁ……」

いや、もはや問題点はそこではないだろ!

「さぁいくぞ!」

カッちゃんの気合いの入った声。
ケンは杖でカッちゃんの頭を殴った。


「痛ぇ! 何すんだよ!」

カッちゃん、50のダメージ。

「何お前が仕切ってんだよ! そういうのは勇者がやるんだよ!」

えっ?俺?俺がやんの?
面倒くさいなぁ……。でも、楽しそうにはしゃいでいる二人の顔を見ると、そんなこと言えないし……しょうがない、やってやるか。

「さぁ、いくぞー……」

「「 おー!!!!! 」」

なんだこの温度差……。



感想

  • 57: 【花中島もなこさんへ】 はじめまして、こんにちはo(^-^)oさちです。このサイトへ来てファンタジー物を見るのは花中島さんの作品が初めてなんですが楽しく観覧させてもらいました★先が気になる展開ですね! [2011-01-16]

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