ポジティブ・アクション34
「起きろメアリー」
肩を揺さぶられながら、メアリーはゆっくりとシートから起き上がった。
「うーん…せっかく良い夢見ていたのに…うん?…ここどこ?」
窓から外を眺めてみると、彼女の目に飛び込んで来たのはコンクリートに包まれた薄暗い空間。
メアリーは思わず驚愕の表情を浮かべた。
「さっ、下りるぞ。こっからは歩きだ」
そう言って、スティーブはドアを開けて外へと出た。
メアリーは戸惑いながらも、彼に続いて外に出る。
「ねェ、ここどこなの?」
「見て分からないのか? ここは地下駐車場だ」
彼に言われ辺りを見回してみると、確かにあちこちに車が駐車されている。
「ここからは歩くって言ったけど、タクシーにはもう乗らないの?」
「ああ。あのタクシーに乗ってたら、一発で連中に見つかるからな。恐らく奴らはこの街にも来ているだろう。だから、なるべく見つからないようにしたい」
そう言って、ポケットから煙草を取り出して火を付けた。
「なるほどねェ」
「よし、外に出たらタクシーを拾ってそのまま直行だ」
「分かったわ。うふ、楽しみだわぁ」
彼女は満面の笑みを浮かべると、スティーブの手を握った。
…その時。
「…!?」
スティーブは突如と、不気味な気配を感じ取った。
(後ろか?)
彼は心の中で呟くと、瞬時に後ろへ振り返る。
「えっ?」
メアリーもつられて後ろへ振り返ってみると、恐るべき物が二人の目に飛び込んできた。
――それは、ナイフを構えた三人の男達が二人に襲いかかろうとしていたのだ。
「キャーッ!!」
メアリーは叫びながら、スティーブの背後に隠れる。
「下がってろ!」
スティーブはそう言うと、必死に後ろに止めてある車を指差した。
直ぐにメアリーは理解し、その車の陰に隠れる。
「誰だお前等? ギャングじゃねぇな」
スティーブは男達を見据えながら言うが、男達は無表情のまま言葉1つ発しない。
「ちっ、シカトかよ」
続く
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