ポジティブ・アクション35
彼がそう呟いた時、先頭の男がナイフを構えて切りつけてきた。
「…面倒だなぁ」
そう言って、スティーブは煙草を吐き捨てる。
彼はなるべく戦いたくは無かったが、メアリーを守る為には仕方が無い。
彼は嫌々戦いの体勢に入ると、その男のナイフを蹴りで弾き飛ばした。
そして、一瞬隙を見せた男の顔面に拳を一撃。
続けてアッパーで男の顎を砕く。
「ぐはっ…!」
まず一人目を仕留めると、スティーブは瞬時に残りの二人に目を向けた。
すると、男達はのた打ち回る仲間を気にする事もなく、ナイフを構えて襲いかかる。
(こいつらマフィアか?)
スティーブは心の中でそう思いながらも、飛んでくるナイフを巧みにかわしていく。
やがてスティーブはナイフを握る手を掴むと、そのまま男の顔面に手刀を一撃。
そして白目を向いて男が倒れる中、背後に回ったもう一人の男に後ろ蹴りを喰らわす。
「ぐぉっ!!」
そのまま男は吹っ飛び、後ろの柱に激突した。
その衝撃で、持っていたナイフは床に転がる。
「お前…やるなぁ」
すると男は再び立ち上がり、拳を構えてスティーブに殴りかかった。
「まだやるのか」
彼は鋭く男を見据えると、飛んでくる拳を左手で受け流す。
そして鳩尾に拳を一撃、次に髪を掴んで顎に膝を入れた。
「…ぐっ…うぅ…」
男は溜まらずその場に崩れ、気絶する。
「メアリー! 出てこい! 終わったぞ」
するとメアリーはすかさず車の陰から飛び出し、そのままスティーブに抱き付いた。
「ありがとう! 守ってくれて」
「約束だからな」
続く
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