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君からの手紙〜57〜

[387]  YOSI  2009-08-18投稿
「そうか…良かったな。で、うまくいきそうか?」
勇一と正がそれぞれ新しい店に異動して一週間が経っていた。
その一週間の間に、正と佐野が付き合うことを知り、勇一は、心から祝福をした。
「うん。この先、彼女のために頑張るよ。きっと、いろんなことが、あるだろうけどさ…」
「そうだな。でも、お前が佐野さんに対して、そう思うなら、佐野さんも、そう思ってるよ」
「そう信じるよ。でも、アドバイスありがとな」
「アドバイス?」
「ほら、俺に言っただろ。あれ…『信号』の」
「ああ!あれか」
「お前も言ったことあるんだろ?」
「いやあ、あれさ、この前信号待ちしてたら、目の前のカップルがさ、『俺達の人生は、この信号のように赤信号でなければいいね』って言ってたんだよ。
なんかさ、背中がかゆくなるような感じだったけど、どこかで、いいなと思ったんで、少しアレンジして、教えたんだよ。」
「なんだよそりゃあ。…まあ、でも受けとめてもらえたからな。感謝するよ。…ところで勇一」
「ん?」
「お前はどうなんだよ?」
「俺は…俺はまだ解決しなきゃならないことがあるんだ。…でも、ようやく由美との15年の空白も、自分のわだかまりも埋まりそうだ。
もし、それが解決したら、俺は自分の気持ちを伝えようと思う」
勇一から、その言葉を聞いて、正はホッとした。
ずっと、恋愛に心を閉ざしてきた勇一が、やっと前に進もうとしている。
「なあ、中村。俺は、お前にアドバイスしといて、自分は恋愛の…恋愛の信号の手前にすら立ってなかった。だから…これからは、進もうと思う」
「そうか…お互いに幸せになれるといいな。『恋愛信号』なんて、ちょっと、ともどうフレーズだけど、俺と彼女を結びつけてくれたんだ…大切するよ」
「そう言ってくれるとありがたいな。ところで、中村、来週の土曜日、店長が、こじんまりとした送別会やってくれるらしいけど、聞いてるか?」
「ああ、聞いてるよ」
「そうか。なら来週な」
「ああ。…ところで勇一。お前の心にある人って…」
勇一は、その後を遮った。
「その時に話すよ。きっと、いろいろなことが動きだすかも…」
「そうか…ならその時な」

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