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キャッチボール 第37話〜信じてたのに〜

[332]  るー6  2009-08-20投稿
僕が帰ってきた頃には既にみんな思い思いの時間を過ごしていた。健也たちは川遊び、明美と桜は昼寝していた。
「暑かったでしょ。おかえり。」
明美がそう言ってくれた。川遊びをしていた2人も
「おかえりみーくん。陽太。」
と出迎えてくれた。

夕食はキャンプ恒例バーベキューだ。
やっぱり自然のなかで食べるのは何でも最高だった。「うめぇなみーくん。」
「龍吾のおいしそうじゃん。」
「あげ…ない…からな。」
盛り上がったバーベキューも終わり、僕は母親からもらった薬を出した。
隠れて飲もうとみんなから離れようとしたら、龍吾が心配してくれた。
「かぜ…ひいてんの?」
「なんでもない…大丈夫」その会話を聞いたら突然健也が下を向いた。
だからメンバーは少し重いムードになった。

「おい…健也までどうしたんだよ。」
「みーくんさ…。」
健也が僕を呼んだ。その声は凄く低かった。
「ヤクやってんだろ。」
事件の始まりだった。
僕が飲もうとした時だった。僕はあまりのショックに皿を落としてしまった。
「やるわけないでしょ…。」
頭がクラクラしてきた。
僕は倒れこんだ。
目は微かに開いている気がする。
龍吾が健也を睨み付ける。「そんな言い方ねぇだろ!みーくんが…かわいそうだろ!」
龍吾が僕の背中を擦る。
「みーくん…」
背中を擦ってもらったが…少しの温かみも感じられなかった。
「岬くん…ヤクって本当なの?」
桜が問いかける。
僕はなんとか首を横に振った。
すると健也が
「違うって?何バカな事言ってんだよ。オレ見たんだからな。おまえが母ちゃんから薬貰っているところを。あの渡し方は不自然だ。そして『楽になれるよ。』とか言ってたじゃねぇか。」
するとみんなが疑いの目を僕に向けた。あの優しかった龍吾でさえも。
僕を無理矢理立たせて龍吾が鋭く言う。
「みーくん…その話…本当か。本当だろうな。」
「だから違うって。」
「じゃあ何で教えてくれなかったんだよ!」
と言って龍吾は僕を突き飛ばした。
陽太はただ下を向いていた。
「陽太も一緒にいたんだから何か知ってるだろ。」
「…知ってるよ」
でも龍吾は陽太に聞いときながら話を聞こうとしなかった。
そして…僕は龍吾に
何度も殴られた。
僕は龍吾を信じてたのに。

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