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ツミキ(1)

[118]  フイ  2009-08-22投稿
春。
アキは昨日中学を卒業した。
今日から春休み。
あの町を出て、九州・福岡へと向かう電車に乗っている。

父の産まれ育った場所。
アキは父親が大好きだった。
優しくて頼もしい父親。
彼は先月、胃癌でこの世を去った。47歳だった。
母親が家を出てから4年間、彼はその淋しさからか休みも取らず働き続けた。アキと一緒にいる時は穏やかに振る舞っていたが、深夜には浴びるように酒を呑む姿があった。

父と母親であるあの女−、ミキが結婚したのは父31歳、母21歳の時だった。若くて美人のミキ。
アキも母親が自慢だった。そう、あの日までは。

「父さんと母さんは離婚することにしたんだ。」
父親の口からそう聞かされた時、母の姿は既にそこにはなかった。
「…ナンデ?」
アキは信じることができなかった。昨日まで…いや、朝まではいつも通りの家族だったのに−。
「お母さんはドコに行ったの?!ねぇ、どうしてリコンなの?!」
アキが問い詰めても、父親は俯きながらただ「すまない」としか言わなかった。

事の真相が解ったのは、それから3ヶ月後のことだった。
父親が海外に出張することになり、その間、福岡の叔母がアキの世話をしに来てくれた。

あまり面識のない叔母と2週間も二人きりだなんて初めは気が引けたけど、叔母は明るくてよく喋り、よく笑う人で、すぐに打ち解けることができた。

「ねぇ叔母さん、なんでお父さんたちは離婚したの?」

この人なら何か知ってるかもしれない、そう思いアキは勇気を出して聞いてみた。

「大人にはイロイロあるのよ…」
父親に口止めされているのか、叔母は答えてくれなかった。

しかしそれから数日後−。

その日アキは友人達と市外のプールに来ていた。
駅に向かう帰り道、アキは向こう側の商店街を歩く女性に目を奪われる。

−ミキだった。

久しぶりに見た母親のお腹は丸く突き出していた。
アキは何が何だか一瞬にして解らなくなった。いや、ホントは何かに気付いてしまったのかもしれない…
アキは帰るなり叔母に向かって叫んだ。
「お母さんのお腹が大きかったよ!ナンデ?!ナンデお父さんとリコンしたの?!」
叔母はアキの興奮を鎮めるように静かに口を開いた。
「お母さんのお腹に居るのは…お父さんの子じゃないからよ」

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