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復讐のジャケット?

[487]  ミッシェル  2009-08-22投稿

俺はジャケットの懐に拳銃を忍ばせながら、バーの中へと入って行く…。

中では薄汚い男共が呑気に酒を飲んでいた。

席に座っている、ドレスを着た若い女達が誘惑の眼差しで見つめてくるが、今の俺には関係の無い事。

…俺の目的は1つ。

“奴”はカウンターの一番奥に座っていた。

長い髪に頬の傷。

間違い無い“奴”だ。

俺はゆっくりと“奴”の元へと歩を進める。

そして懐から拳銃を取り出し、

「久しぶりだな‥。“モーガン”」

モーガン・ディクソン…。

こいつが俺から全てを奪った男。

ありとあらゆる犯罪に手を染めた凶悪な殺人鬼である。

こいつは今まで大勢の罪の無い者を無差別に殺してきた。

そして妻と息子の命も…。

だが今、ようやく復讐が果たせる。

俺は強く拳銃を握り締めた。

「…うん? 貴様…アダムか?」

奴はそう言って、席から立ち上がった。

「そうだ! お前を殺しに来た!」

俺がそう叫ぶと席に座っていた客達が一斉に立ち上がり、悲鳴を上げながら一目散に店内から去っていった。

バーに残ったのは俺とモーガン。

…そして二人の男。

「ほぉ〜良いジャケットを着てるな」

奴は俺の拳銃には目もくれないで言った。

奴のそのムカつく態度が、俺の怒りを更に募らせる。

「アダム。そこにいる二人は俺の仲間だ。利口なお前になら分かるだろ? 今のお前の状況が」

背後から二人の男が俺に銃を向けているのが分かる。

だが、俺は別に命など惜しくない。

奴を殺せればそれでいいんだ。

俺に迷いは無い。

「死ね!!」

「何!?」

俺はそう叫び、引き金を引いた。

ありったけの銃弾を奴に浴びせる。

それと同時に背後からも衝撃がくるが、今の俺に痛みなど感じない。

俺は泣きながら、復讐の喜びに浸る。

やがて銃弾を撃ち尽くすと、俺は静かに倒れた。

血液が自分の体内から抜けていくのが分かる。

「馬鹿やろう…俺を舐めるなよ…」

奴の声が聞こえる…。

まだ聞こえる…。

まだ…。

…次の瞬間、俺のすぐ近くで何かが転がった。

それは死の淵に立つ俺でもハッキリと見えた。

…防弾チョッキだ。


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